ベートーヴェンの交響曲第9番の第4楽章だけを演奏するのはナンセンスだな。しかもバリトンソロから始まるとは…… 第4楽章は冒頭の否定の主題が重要で、第1楽章でソナタを持ってきて、2楽章で異例のスケルツォ、そして3楽章では2楽章に来るはずであったアダージョが来る。聴衆は「次の4楽章にはどのような仕掛けがあるのだろうか」とワクワクしている中、嵐のような騒音から第4楽章が始まる。そして1楽章の主題を否定して、2楽章の主題を否定して、3楽章の主題を否定する過程を経てからの「O Freunde, nicht diese Töne!」だからこそ感動するのだ。