「床に対する摩擦」と「空気に対する摩擦」は、どちらも本来複雑な物理現象で、正確な記述は困難です。このような時には状況に応じて、現実を「簡単化」して考えます。物理学ではこの簡単化のことを、「モデル (模型)を作る」、「モデルで近似する」と言います。実際の物理現象を上手く説明し、かつ単純なモデルで記述される事を目指した簡単化を行います。 今回の場合は、雨粒などの落下運動のデータを表す最も簡単なモデルが、F= - kvの形であることが知られているので、このような力の形を仮定しました。この問題の場合は垂直抗力の登場の余地がないので、床とは違う記述になっています。一方、床との摩擦をF= - k v で扱っている授業も見た事がありますので、空気抵抗以外でもこの形を仮定することはあるようです。採用したモデルが妥当か、なぜそれで上手くいくのかという問いへの答えには、専門的な知識が要求されたり、あるいは正確には分かっていない事が多いです。