朋来堂ミステリ部の皆様、当方、カー大好き人間です。今後ともよろしくお願い申し上げます。 さて、以降、少々長くなりますがご了承ください。昨日コメントしました「盲目の理髪師」についてです。 驚愕(?)の原文と旧訳及び新訳の訳し方の違い(いずれの訳者も大変だったでしょう)を紹介させてください。 CHAPTER Ⅵ THE MISSING BODY(消えた死体)の中に、それはあります。 「ホィッスラー(ホイッスラー)船長の奇々怪々な発言です・・・。」 (原文) Feet scuffled on the iron companion-ladder,but the second officer said:’Never mind.It might’ve been imagination.We’ll-‘ And then,no the horror of the little group by the glass enclosure,the captain’s corpse sat up. ‘!!!!3/4 1/2&£!?!??゜??!’ roared Captain Whistler - weakly it is true,and huskily,but with gathering volume as his sticky wits ceased to whirl. ’!&£&/£!/!’ He gasped,he blinked,and then,as the full realization smote him,he lifted shaking arms to heaven and set soaring his soul in one hoarse blast:’!!!!&/£-!!?????&-&£/!!)/?2/3 3/4 1/3!? THIEVES! MURDERERS! HELP! 創元推理文庫の2007年新版:井上一夫訳(102ページの12行目から) ・鉄の階段にどかどかと足音。だが、二等航海士がいった。「気にすることはないさ。空耳かもしれないから。とにかく-」 そのとき、ガラス塀のそばに小さくかたまっていた連中をさらにぎょっとさせたのは、死んだみたいにのびていた船長がむっくり 起きあがったからだった。 「ううむ!はてさてこれは、いったいなんとしたことだ?ううむ!」ホィッスラー船長がわめきだした―なるほど、弱々しくしゃがれてはいたが、いうことを聞かなかった頭がようやくグルグルまわるのをやめるにつれ、それはしだいに声量を増してくる。 「ううむ!いったいこれは……ううむ……」彼はあえいで、目をパチクリさせ、やがて、ハッとうたれたように完全な正気がよみがえると、ふるえる両腕を天に上げ、しわがれ声を爆発させてたまげるような大声。 「ううむ!ううむ―はてさて?ううむ、こりゃいったいなにごとだ?ドロボウだ!ヒトゴロシだ!タスケテクレ!」 創元推理文庫の2018年新訳版:三角和代訳(97ページの3行目から) ・鉄の昇降用階段に足が乗せられたが、二等航海士が言った。「まあいい。気のせいだったんだな。引きあげるとするか―」 そこで、ガラスの仕切りのそばにいるささやかな集団にとって恐ろしいことに、船長の身体が起きあがった。 「!!!!%“@”£!?!??!」ホイッスラー船長が意味不明のことをどなった。 たしかに声は弱々しくてしゃがれていたが、痛手を負ったおつむがぐるぐる回転するのをやめるにつれて、声量が大きくなっていく。「!&£&,@£/!」あえぎ、まばたきをして、そこでようやく、完全に意識を取り戻したか、震える両手を天に突きあげ、魂のかぎりにしゃがれたどなり声をあげた。「!!!!@“/£-!!?????&-£@/”,)%5/8 1/8 1/4!? 泥棒!人殺し!助けてくれ!」 皆様、いかがでしょうか? この問題箇所、出版元によって違うバージョン(大勢に影響はありませんが)もあるのが興味深いところです。しかし、訳者の方は頭を抱えたことでしょうね。
@horaido4 ай бұрын
翻訳の比較ありがとうございます! 新訳版だと無理に訳さず記号のままだったりするのが面白いですね!
@user-ws4ui5me8i4 ай бұрын
カーの作品は邦訳されたもの(魔棺殺人事件、夜歩く(天人社)、別冊宝石、ジョン・ロードとの合作(エレヴェーター殺人事件)を含むポケミス、早川ミステリ文庫、創元推理文庫)はコンプリートしました・・・40年近くかかりましたが。また「Devil Kinsmere」,「The Hungry Goblin 」と「Fear Is the Same」を除いた原書も執念で集めました。このうち、盲目の理髪師のある個所で、これは文字化けか?という部分があり、旧訳と新訳では訳し方が違っています。と言うより訳者泣かせとも言うべき珍妙な前代未聞の一文で、カーの悪ふざけ度(?)の一例かと。いずれ紹介できればと思います。以上、自慢話傾向が強くて申し訳ありません。