あまり語られないテスラの組織の秘密、そっと教えます。 Kazutaka Sankai / Yuri Sadoi

圧倒的な開発リードタイム短縮とコスト削減を実現しているテスラ。徹底した自動化工程や高価な機器などがその理由とされることが多いようです。またその組織も非常に特徴的であり、全くフラットな組織が自律的にマネジメントする部分は、アジャイル/スクラムの影響が大きいとされています。しかし他に例を見ない革新的な要素は、むしろアジャイルやスクラムからかけ離れた手法のように見える時すらあります。
わたしたちは、Joe Justice氏の知見と経験をもとに、テスラの手法と、アジャイルやスクラム、そのルーツであるトヨタ生産方式（リーン）との関係を紐解く活動を開始しています。あまりに革新的でテスラにしか実現できないと思えるような手法でも、これらの関係を紐解くことができれば、日本の製造業の革新の一助になるのではないかと考えているからです。
そしてこの活動の第一弾として、まず「見える化」にフォーカスを当てました。トヨタ生産方式（リーン）の現場、アジャイル/スクラムの現場を、「見える化」という手法で比較してみると、見える化の目的（何のために見える化するのか）と、期待するチームの自律性レベルとに、関係があるのではないかと考えたからです。
今回の発表では、テスラの見える化について、トヨタ生産方式やアジャイルからどのような影響を受けているのか、その結果としてフラットな組織を、どのように自律的に機能させているかの説明を試みます。
*今回の内容は、Joe Justice氏、佐土井教授（名城大学）、山海一剛が共同執筆し、オープンイノベーション学会(2024/7)に提出した論文にもとづきます。