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【神曲をバイオリン超絶技巧アレンジで弾いてみた】シリーズ第9弾は、kemu様の「拝啓ドッペルゲンガー」を演奏させていただきました。
僕のチャンネルではボカロ2曲目ということで、再びkemuさんの楽曲に挑戦しました。ヴァイオリンで弾く音楽としてはテンポ感やリズムの取り方が難しく、曲の格好良さを損なわないように忠実に弾いてみようと試行錯誤しました。
「太鼓の達人」でこの曲に出会い、鬼難度で唐突に現れる「ドン」の間に「カッ」を3つ入れるパターンが苦手で、頑張って練習した記憶があります。
◆ウィルの超絶マニアックな演奏法解説◆
今回は全体を通して「ボウイング」の工夫に力を入れました。テンポが速く、リズムの移り変わりが激しい曲に関しては、ボウイングの些細な違いで弾きやすさが格段に変わってきます。小節を跨ぐタイが多く、その場合は裏拍(タイの最初の音)でアクセントをしっかり付けることで、速いテンポの中でもリズムに緩急が付きます。ボウイングでリズムの緩急を付けるテクニックは、後述の◉今回の速弾きワンポイント◉で詳しく解説したいと思います。
まず、kemuさんのボカロで特徴的な16分音符のパッセージ(0:04〜)についてです。冒頭の弾き始め8小節の中に、拍の頭をズラすように連なる16分音符の固まりがあります。ここには、頭拍を移動させることで拍子が変わっているように感じる音楽的技法「Hemiola(ヘミオラ)」が使用されています。Hemiolaはクラシック音楽においてバロック時代から存在する技法で、あのモーツァルトやベートーヴェンも取り入れていました。この部分では正確な拍の分解によるヘミオラでは無いですが、4拍子を8分音符の3+3+2という区切りで分け、その頭拍の違いを付けることでリズムに抑揚が生まれ、フレーズの疾走感が増しています。これは以前にUPした「六兆年と一夜物語」でも同様に使用されていました。更に3+3+2の16分音符始め3つが、全て同じ音の繰り返しであるということも重要で、BPM181という速いテンポだからこそ効果的にリズムの変化を感じることができるのかもしれません。遅いテンポで同じ音の繰り返しであっても音楽的に面白味が無くなってしまいますし、速いテンポで細かな音の違いが付けられた16分音符のパッセージがあったとしても、それはHemiola要素が薄いものになってしまうということになります。演奏法としてはシンプルに、16分音符の固まりの最初の音にアクセントを付けることでHemiolaを効果的に表現できます。
この曲で大きくアレンジした箇所は、Bメロ(0:41〜&1:57〜)とギターソロ(3:06〜)の部分です。
Bメロは基本的に、ジャズやブルースなどで用いられるブルー・ノート・スケールを軸に、拍を跨ぐタイと16分音符で構成しています。速弾きのアレンジをする時に常に考えていることは、開放弦の場所とポジション移動のタイミングです。BPM180以上の16分音符のパッセージは、1拍前後を一括りに押さえられないと無理が生じ、テンポに間に合わなくなってしまいます。それを少しでも緩和する要素が、開放弦になります。16分音符の連続であっても、どこかに開放弦を挟むことができさえすれば、指の固まりに対しての脳のリセットと音程確認を同時にすることが可能です。ポジション移動に関しては、半音もしくは開放弦を挟んだポジションチェンジのみでできる範囲で弾いています。
そして、ギターソロは今回の一番のこだわりポイントです。原曲を何度も聴き、耳コピをしてエレキヴァイオリンの力を借りて最大限表現しました。思ってたよりも弾きやすかったのですが、速弾きに関して、おそらく人間の指の動きとしてのクセのようなものが、ギターとヴァイオリンで似ている部分があるのかなと思いました。例えば「レ-ミ-ファ-ミ-レ」というような5連符が使用されていたのですが、行って戻ってくるという指の動きは思考停止していても自然に素早く動きます。これがもし分散音階だったりすると難しいですが、1拍の中で5連符として完結してるパッセージの有用性を上手に組み合わせることが、速弾きに最適だと思いました。原曲のギターソロは鬼格好良いので、是非聴いてみてください。
楽器はDie Milchチャンネルのブツ子とパン子でお馴染みの、かみじょーさんからお借りしました。
◉今回の速弾きワンポイント◉
ボウイングでリズムの緩急を付けるテクニックにおいて一番重要なことは、規則性に基づいてダウンボウとアップボウの弓順を決定するということです。この曲のサビ部分(0:53〜)では、4拍目の裏から次の小節の1拍目にタイで繋がっている音が、オケ伴奏にも重ねられているように、存在感があって重心を置くべき音だということが分かります。重心を置く音、アクセントを付けたい音は重力の関係上、ダウンで弾くのが好ましいですが、それよりも意識しなければいけないのが、その音の前後の状況を把握することです。この部分で言うと直前に8分休符があり、更にその前にHemiolaがあります。BPM180での8分休符は弓を止めて待つよりも、素早く弓を戻す動作(ダウン→ダウン)の間隔の方が自然です。つまりその音はダウンで終わるべき音になります。そこから弓順で逆算するとHemiolaの最初の音がアップになります。加えてHemiolaの2個目のダウンは弓先に向かって減衰すべき音なので、丁度良く噛み合っていることになります。ただ拍の頭の音がアップになるので、重さを意識してかける必要があり難易度が上がるのですが、変更できる余地が無いので妥協点とします。更にその前のサビ入りのAuftaktが、そのままの弓順だとアップ→ダウンになります。そのAuftaktの前は2分休符なので、それ程長さのある休符の後にアップから入るのはとても不自然になってしまいます。つまりAuftaktはダウン→アップから始めて、更に次の小節の拍の頭をアップで入りたいということは、スラーにならないようにアップ→アップで小節を跨ぐ必要があるという結果になります。話を戻すと、1フレーズにおいて一番重要な音を希望する弓順で弾く為に逆算して考えようとすると、1小節前から考える必要がある、ということです。このように、速いテンポでのボウイングは些細な違いによってリズムの取れやすさを大きく左右するので、経験則と綿密な計算が大切だと思っています。ベルリンフィルの元コンサートマスター、故トーマス・ブランディス氏のレッスンでは、たった1フレーズで何十通りのボウイングを教わったこともありました。一見遠回りしているように思えるかもしれませんが、不自然な弓順でリズムを取ろうとしてリズム練習などを重ねるよりも遥かに効率的なので、難しいリズムや弾きにくいフレーズがあったら、改めて最初から弓順を考え直してみるのが良いのかもしれません。
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Violin Arrangement:Will Pampelmuse
Arrangement & Mix:Coco Garfield / Die Milch
使用楽器:Giuseppe Guarneri del Gesù(グァルネリ・デル・ジェス)"1730"
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