【仮想世界編】オーバーヒール/Over heal【戦闘BGM・ラストバトル Part 6】

魔法使いの少女の放った氷の神槍で絶望の黒球が貫かれ破壊される直前、回復術士の少女は事前の作戦通りに【対象の生命力が減っていない状況で】回復魔法の詠唱を始めていた。
生命力が減っていない状態での特定の回復魔法は、この世界では決して魔力の無駄使いではなく職業特性により生命力の上限を突破して回復される。
つまり本来即死するようなダメージを受けてしまう回避不能な攻撃も、生命力上限の突破により耐えきれる可能性が生まれる事になる。
これは強敵との戦闘を有利に運ぶために重要なテクニックになると彼が言ってたような気がする。
「貴女も民も絶対に死なせない」
魔法使いの少女の魔力と生命力が目を背けたくなる程の速度で失われていく中で優しく白き光が少女を包み込み、黒と白の奔流がせめぎあう様に生命力の減少と回復を交互に繰り返している。
この世界に蘇生魔法は無い、魔力を切らしたり回復のタイミングを誤り死なせてしまったら終わりだ。
幸いうさぎさんからもらった（正確には涙目で差し出していたけど、あれはかわいそうだったな・・・）魔力の自然回復量上昇効果の有る宝石のおかげで魔力が途切れる事無く回復魔法を詠唱し続けられている。
今は強力な技を発動した反動か深淵の王の攻撃が止んでいる。
これは好機だ。
そう回復術士の少女が感じ取るよりも早く、紅と翠の閃光が深淵の王に向かって疾走していた。
曲名：オーバーヒール/Over heal