帰り道【オリジナルストーリー：物語の扉】

学生の帰り道
「今日も一日、疲れたなあ」
絵理子は、校門を出ると友達と別れ、独りの帰り道を歩き始めた。お気に入りのイヤホンからは、流行りのバンドの音楽が流れてくる。夕焼けの空を見上げながら、明日のテストのことを思い出すと、自然とため息が出た。
「ああ、勉強しなきゃ。でも、帰ったらまずはアイス食べよう」
そんなことを考えながら、絵理子は商店街を通り抜け、自宅への道を急いだ。
サラリーマンの帰り道
「もう少し早く終わると思ったのに」
高橋は時計を見て、ため息をついた。今日も残業で遅くなってしまった。駅に向かう途中、コンビニでビールを買って帰ることにした。
「ただいま」
家に帰ると、妻と子供が笑顔で迎えてくれる。それだけで、今日一日の疲れが少し和らぐ。高橋はビールの缶を開け、ソファに腰を下ろした。
主婦の帰り道
「今日は特売日だったから、たくさん買っちゃった」
美沙子は、両手にいっぱいの買い物袋を抱えて帰る途中だった。夕飯の準備が頭の中を巡る。今晩はカレーにしようか、それとも煮魚にしようか。子供たちの好物を思い出しながら、道を急ぐ。
「ただいま」
玄関を開けると、子供たちの元気な声が迎えてくれる。美沙子は笑顔で「おかえり」と返しながら、キッチンに向かった。
自分の帰り道
私は、いつも同じ帰り道を通る。駅前の小さなカフェでコーヒーを買い、住宅街を抜けて自宅に向かう。その途中で、ふと足を止めることがある。見知らぬ人々の帰り道が、私の周りをすれ違っていくのを感じる。
「みんな、それぞれの帰り道があるんだな」
そう思いながら、私は自分の帰り道を再び歩き出す。
エピローグ
夕暮れの街には、いろんな人々の帰り道が存在する。絵理子、高橋、美沙子、そして私。それぞれの帰り道が、今日もまた、静かに続いている。