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戸上眞里(ヴァイオリン)&渡邉辰紀(チェロ)によるデュオリサイタル vol.1
MARI TOGAMI+TATSUKI WATANABE 2012 08 23 東京オペラシティ 近江楽堂
ともに東京芸術大学卒業。東京フィルハーモニー交響楽団首席奏者の息のあった強力デュオ、BALLMONによる迫真のライブ映像。
歌手iora(アイオラ)のバックバンドとして2009年に結成。JZブラットライブなどに出演。
ioraのCD「Blanco」「Azul」「Lluvia」にBALLMONもちょっぴり登場!
コダーイ:ヴァイオリンとチェロのためのデュオ作品7
Ⅰ Allegro serioso, non troppo
Ⅱ Adagio
Ⅲ Maestoso e largamente, ma non troppo- Presto
「コダーイ徒然」 渡邉辰紀
我々チェリストにとってゾルターン・コダー
イという作曲家は特別な存在でして...。
と申しますのは、コダーイはチェロレパート
リーの最高傑作の一つ「無伴奏チェロソナタ」
を書いているからです。
このジャンルにはバッハの無伴奏チェロ組曲以
降、ほとんどだれも作品を残していませんでし
た。そこにいきなりコダーイは長さ的にも内容
的にも超大作を作り上げました。まさに金字塔
を打ち立てたと言っても過言では無いでしょう。
(内容については具体的な比較ができませんが
長さは33~4分で、これを超えるチェロ・ソロ
のための曲は、私の知る限り他に例がありませ
ん。)
この曲は今でこそ頻繁に演奏されますが、チェ
ロレパートリーの中では難曲中の難曲と言われ、
半世紀ほど前まではハンガリー出身のチェリス
ト、ヤーノシュ・シュタルケルがとりあげるま
でほとんど演奏されませんでした。
そんな難曲を、私も10年ほど前にリサイタル
のプログラムの一曲に加えました。その当時私
はドイツに住んでいたので、リサイタルのため
にウィーンまでミクロシュ・ペレーニ(コダー
イの演奏に定評のあるハンガリーのチェリス
ト)のレッスンを受けに行き、そのついでにハ
ンガリーまで足をのばしてコダーイの生家のあ
るケチケメートという街を訪ねました。コダー
イの生家はケチケメートの駅なんですが、別に
コダーイ家がホームレスだったという訳ではな
く、実はコダーイのお父さんはこの駅の駅長さ
んだったのです。
私はこの駅の前に立って「無伴奏チェロソナタ
がうまく弾けますように」と、神頼みならぬコ
ダーイ頼みをしました。にもかかわらず、本番
では演奏中に客席からいびきが聞こえてきたの
で心の中で「寝るな、こらぁ!」と毒づいたら
その瞬間に暗譜が飛んでしまったという苦い思
い出があります。やっぱりお客様にはいらして
くださっただけでも感謝しないといけませんね。
それでもなんとか弾き通すことができたのは他
ならぬコダーイ先生のおかげかなぁなんて思っ
ています。
今日はそのコダーイのもうひとつの傑作を演奏
させていただくわけですが、この二重奏も無伴
奏チェロソナタ同様ハンガリーの民謡が随所に
使われていて、マジャール特有の、西洋音楽な
のにどこか東洋風で懐かしさを感じさせる雰囲
気を持っています。この曲は二人で分担するの
だから幾分楽だろうと楽観視していたら、今度
は「合わせる」という、無伴奏には無い厄介な
作業が待ち受けていました。でもハンガリーの
旋律にのせて二人の対話を繰り広げていくのは
得も言われぬ喜びがあり、今からわくわくしつ
つも今回はお参りできないので心配でもありま
す。でも暗譜じゃないから大丈夫か。(^_^)v
(プログラムより)