橘川 琢 ピアノ作品特集 -Migaku KITSUKAWA Piano solo works @contemporary 2024.6.1 大倉山記念館 ピアノ：関野真矢子

主宰：MPS 村上ピアノサービス、撮影協力・録音：橘川琢
■第一部「都市の肖像」
1. 『ピアノのための 24 の前奏曲』Op.114 より
第一番 No.1 C-Dur
2. ピアノ抒情曲集「花の歳時記〜四季の旋律的花々」より
「梔子（くちなし）の花」(2024／初演)
3. ToccataNo.4《Elegant Letter》Op.46(2010)より
第三曲 Allegro Moderato：光のオブジェクション
■第二部「ピアノによる日本の四季」
4. ピアノ幻想曲「無限春風」〜日本漢詩・芳野三絶に依る Op.102 (2018)より
第一曲 「山寺尋春春寂寥」（山寺 春を尋ねて 春寂寥せきりょう）
5. 叙情組曲《日本の小こ径みち》第１集「夏風の刻（とき）」Op.12(1999-2013)より
第二曲「夏の栂池（つがいけ）」（2004）
6. ピアノ幻想曲《水墨四題 〜四季素描〜》Op.112(2021)2より
第三曲：野路の秋(2018-2021)
7. 幻想曲「雅画みやびが三連」Op.89(2016)より 第三曲：花林図
■Epilogue 〜エピローグ
8.『ピアノのための 24 の前奏曲』Op.114 より
第三番 No.3 As-Dur "FLOS gratias"「感謝の花束」

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【曲解説（Part 1）／作曲者橘川琢自身による当日プログラムより(1)】橘川琢 ピアノソロ作品特集 Migaku KITSUKAWA Piano solo works ピアノ:関野真矢子 ■第一部「都市の肖像」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 1. 『ピアノのための24の前奏曲』Op.114 より　第一番 No.1 C-Dur (2022-2023)　　 　2022年よりこの　『ピアノのための24の前奏曲』集を作曲し始めた。特定の場や曲への前奏曲という面もあるが、それ以上にリスト(1811-1886)が交響詩『前奏曲』(1854)でも描いた、詩人ラマルティーヌ(1790-1869)の「我々の人生は、その厳粛な第一音が死によって奏でられる未知の曲への前奏曲でなくて何であろうか」という内容の詩の理念から、人生の諸相を「24の前奏曲」という名で描きたいと考えている。さらに、21曲まで作曲してご逝去された恩師助川敏弥先生(1930-2015)の絶筆、『ピアノのための24の前奏曲』(2012-2015)への敬意から、先生の心を、作風は違えど自分の語法で書き継ぐ思いで、先生が作曲を始めた10年後の2022年に筆者も作曲を開始。演奏は約2分00秒。初演は浅井隆宏氏。 　 2. ピアノ抒情曲集「花の歳時記　〜四季の旋律的花々」より「梔子（くちなし）の花」(2024／初演)　 　今年5月中旬に都市の住宅地を逍遥中、くちなしの花の香が私を呼び止めてきた。その香りを聞き、ふと旋律と響きが浮び上がり作曲。演奏会が近づいていたがこの6月初夏の演奏会のために季節の曲（「くちなしの花」は夏の季語）をお届けしたい思いから、さらに今回多くの拙作を演奏して下さるピアニスト関野真矢子さんに敬意を表し、新曲演奏のご機会を是非差し上げたいと思い、プロデューサーの村上 健氏にこの曲へ急遽差し替えをさせていただき、ご了承を得た。この２週間ほど前に開花したばかりの、まさに世において今初めて薫る曲。演奏は約4分10秒。初演は関野真矢子氏。 　3. ToccataNo.4《Elegant Letter》Op.46(2010)より　 第三曲　Allegro Moderato：光のオブジェクション(2024／改訂初演)　 　都市の輝きの中では、万華鏡のように様々な場面や心の情景が変化してゆく。中間部は　幻灯機による美しい映像場面の幾つかが浮かんでは消えるような、幻想美を描く。その後力強く主題が回帰し、曲は輝かしく幕を閉じる。2010年に作曲、2014年栗栖麻衣子氏により現在の改訂稿の元になる初演がなされた。演奏は約4分50秒。

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【曲解説（Part 2）／作曲者橘川琢自身による当日プログラムより(2)】橘川琢 ピアノソロ作品特集 Migaku KITSUKAWA Piano solo works　 ピアノ:関野真矢子 ■第二部「ピアノによる日本の四季」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 4. ピアノ幻想曲「無限春風」〜日本漢詩・芳野三絶（よしの さんぜつ）に依（よ）る　Op.102 (2018)より　第一曲 「山寺尋春春寂寥」（山寺 春を尋ねて 春寂寥(せきりょう)） (2018)　 　芳野とは、名にしおう千本桜の名所・奈良県吉野の雅称。かつてその吉野にある後醍醐天皇の南朝皇居でもあった𠮷水(吉水)神社内にて、後醍醐天皇御物の帝器「御嶽丸笙」を拝見しながら、雅楽楽器・笙（しょう）２名と正倉院に納められた笙より１オクターブ低い竽（う）１名のための曲「平調『秋麗・花野風』」を作曲。さらに𠮷水神社の外にて宮司さんとお話しをしながら、このピアノ幻想曲「無限春風」の構想を立て作曲した。2018年、丁度その頃吉野を訪問されたピアノの山下早苗氏が初演。演奏は約3分30秒。 5. 叙情組曲《日本の小径（こみち）》第１集「夏風の刻（とき）」Op.12(1999-2013)より 第二曲「夏の栂池（つがいけ）」（2004）　　　 　2004年、長野県白馬・南小谷のリゾートホテルにて、夏のシーズンの短い間だけであるがホテルニューオータニ以来久しぶりにホテルマンをしていた。住み込みで滞在しフロント業務と作曲をしていた規則正しい日々。オフの日は近隣を散策。訪問した栂池高原にて、光と風がそよぐ愛らしい高原の光景に心安らぐ思いがあり、作曲。初演は野田憲太郎氏。その後森川あづさ氏、深沢亮子氏ほかに愛奏していただいた。演奏は約3分40秒。 6. ピアノ幻想曲《水墨四題　〜四季素描〜》Op.112(2021)より　第三曲：野路の秋 (2018-2021) 　秋の夕暮時のさびしくも情感溢れる田園風景の中、一人さすらう。どこかから祭囃子が聴こえてきて物思いに耽る。 初演は森川あづさ氏による。演奏は約4分30秒。 7. 幻想曲「雅画三連」Op.89(2016)より　第三曲：花林図 (2024／改訂初演)　 　1200年の都、京都平安京の美の中心・京都御所を何度か訪問。その際に、この心寄せる御所において「京都御所の紫宸殿の奥深くにあるかもしれない『架空の三幅の絵（「花鳥図」「雨月図」「花林図」）』」を想像し作曲した。 　その後、初演と改訂を経て、今年こそ最終稿を創りたいと願い最終改訂をしていた。悩みつつ作業を行っていた2024年5月2日、長年の友が開いた演奏会へおしのびでご臨席された上皇上皇后両陛下、そのお近くでともに聴かせていただいたその日の夜、改訂していた音への確信と決意が得られ完成。演奏は約4分50秒。2016年の初演稿そして2018年改訂稿（いずれも全３曲）の初演は小崎幸子氏。

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《"contemporary" Migaku KITSUKAWA Piano solo works／2024.6.1 OKURAYAMA KINENKAN》 ■Part 1 “Portrait of a city” 1. from“24 Preludes for piano” Op.114 No.1 C-Dur (2023) 0:31 2.“Kuchinashi no Hana（common gardenia flower）” from the piano lyric collection “Flower Saijiki -Melodic Flowers of the Four Seasons”(2024／World premier) 3:35 3. from “ToccataNo.4《Elegant Letter》”Op.46(2010) No.3 Objection of the Light (2010/2024 ver. ／World premier) 7:56 ■Part 2 Japanese scenery in my memory 4. “Spring Landscape of Old Temple in Yoshino” from Piano Fantasia “Eternal Spring Breeze” ~ Based on Nihon Kanshi (poems written in Chinese by Japanese poets) ,Yoshino Sanzetsu Op.102(2018) 13:17 5. The summer of Tsugaike(2004) from Lyrical piano Suite《Japanese scenery in my memory》No.1 “When the summer wind blows”Op.12(1999-2013) 16:50 6. “Autumn field path” from Piano Fantasia “Four Suiboku-ga Pictures” Op.112(2021) 21:05 7. “Karin-Zu ※” from Piano Fantasia “Three noble paintings” Op.89(2016/2024ver. ／World premier ) 25:16 ※Meaning =a noble picture of a forest with many flowers ■Epilogue 8. From“24 Preludes for piano” Op.114 No.3 As-Dur "FLOS gratias"(2022-2023)（FLOS gratias (Latin) =bouquet of gratitude）29:49 Composer /KITSUKAWA Migaku 　Piano /SEKINO Mayako “contemporary” Jun.1 2024 Okurayama Memorial Hall in Japan

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【曲解説（Epilogue）／作曲者橘川琢自身による当日プログラムより(3)】橘川琢 ピアノソロ作品特集 Migaku KITSUKAWA Piano solo works　 ピアノ:関野真矢子 ■Epilogue 〜エピローグ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　8. 『ピアノのための24の前奏曲』Op.114 より　第三番 No.3 As-Dur” FROS gratias (感謝の花束) ”(2023／作曲、2024／改訂初演) 　これまで関わって下さいました人生の有縁（うえん）の皆様へ、深い感謝の思いを込めて作曲。FROS gratias（フロス・グラティアス）は「感謝の花束」の意で、学生時代に学んでいたラテン語で命名。アンコール・ピースとして単独で演奏されても良い。演奏は約2分50秒。初演は浅井隆宏氏。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　今回、「contemporary」について村上氏とのイメージについての話し合いの中、同時代性、そして現代・現在の諸相を描くという、希望されるコンサートの像を共有し、少しでも現出できればと思い選曲させていただきました。本コンサートを企画されました村上健様、曲に非常に誠実かつ真摯に取り組んでくださいましたピアノの関野真矢子様に、心より感謝を申し上げます。（解説／橘川 琢）

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《"contemporary" 橘川 琢 ピアノ作品特集／2024.6.1 大倉山記念館》 ■第一部「都市の肖像」 1. 『ピアノのための 24 の前奏曲』Op.114 より 第一番 No.1 C-Dur 0:31 2. ピアノ抒情曲集「花の歳時記〜四季の旋律的花々」より 「梔子（くちなし）の花」(2024／初演) 3:35 3. ToccataNo.4《Elegant Letter》Op.46(2010)より 第三曲 Allegro Moderato：光のオブジェクション 7:56 ■第二部「ピアノによる日本の四季」 4. ピアノ幻想曲「無限春風」〜日本漢詩・芳野三絶に依る Op.102 (2018)より 第一曲 「山寺尋春春寂寥」（山寺 春を尋ねて 春寂寥（せきりょう）） 13:17 5. 叙情組曲《日本の小径（こみち）》第１集「夏風の刻（とき）」Op.12(1999-2013)より 第二曲「夏の栂池（つがいけ）」（2004） 16:50 6. ピアノ幻想曲《水墨四題 〜四季素描〜》Op.112(2021)2より 第三曲：野路の秋(2018-2021) 21:05 7. 幻想曲「雅画（みやびが）三連」Op.89(2016)より 第三曲：花林図 25:16 ■Epilogue 〜エピローグ 8.『ピアノのための 24 の前奏曲』Op.114 より 第三番 No.3 As-Dur "FLOS gratias"「感謝の花束」29:49 “contemporary” 2024.6.1 大倉山記念館 ピアノ：関野真矢子