9:46 piano e forte gravicembalo から、いきなり piano になったわけではありません (そうなら本当に蛮行)。考案されたときは gravicembalo col piano e forte で、この時点では誰もが意味を意識していたが、チェンバロの区別が重要な文脈から、重複する gravicembalo が省略されて piano e forte または pianoforte だけで呼ばれるようになり、やがてこの楽器が世界中に広まり、元(イタリア語)の意味を考えずに pianoforte だけが独り歩きした状態から、「それでも長い」となってpiano になったそうです。しかし、今でも pf と省略されるように、pianoforte も微かに生きているそうなので、山田君のあだ名でいうなら、辛うじて「料理も運動も」の状態かも。
10:37 「as a matter of course」の中の matter は重要だとか問題ということじゃなく、単に「事」を指しています。course は単なる道ではなく「進むべき道」という意味であり、「べき」が入っているから、「進むべき道での事=当然の事=もちろん」なのです。この例の省略は、前後ろというより、主要な意味を持つものを残したパターンと言えますね。
as a matter of course という熟語自体にも「当然のこととして」という意味がありますが、個人的な解釈としては、matterにはthingに似た物事、事柄という意味があり(thingよりやや塊感、重みや重要性、深刻さがある)、コースはあらかじめ定められた自動的に辿ることになる筋道、順路のようなイメージなので、そんな「course の matter」だから、「お決まりのこととして」ということかなと思っていました。 He declined the proposal as a matter of course. (彼は当然ながらその提案を断りました。)
ピアノが発明された時に最初に付けられた名前は "Arpicembalo del piano e forte" らしいですね。初めはclavicembaloではなかったようです。 「鍵盤」を意味する"clavi"は用いられず、弦を弾く撥弦楽器である"Arpa"つまり「ハープ」と「弦楽器」を意味する"cembalo"が組み合わされています。 本当は弦を弾かず「叩いている」のがピアノの画期的な発明部分なんですけどね。 その後イタリアでは"gravicembalo col piano e forte"と呼ばれたようです。「重い」とか「重力のかかった」を意味する"gravi"と、弦楽器を意味する"cembalo"が組み合わされています。 内部で弦を引っ張る力を大変強くする必要があって鉄製フレームに移行したので、本当に重くなりました。