免疫を「ロウソクの科学」する (1)

お久しぶりです。今回から免疫について話します。僕の専門は呼吸器「外科」なのですが、研究の専門が移植免疫と免疫の特殊な範囲なので、今回の動画を作らせてもらいました。久しぶりにビデオ講義をしたので、自分の元のゆっくりした（眠くなるような？）話し方に戻ってしまっています。寝てしまわないように10分ほどの短いビデオにしました。
今回は導入です。 今回からは説明相手として、Takeruさんに入っていただきました。また質問があったり、僕の内容が間違っている場合もあると思いますので、質問批判を受けるということでコメント欄を開けております。建設的なご意見をよろしくお願いいたします。
出てきた単語を整理しておきます。
・リンパ球：白血球の一種で、各種免疫応答を担っており、生体防御に関わる重要な細胞。
・好酸球：白血球の中の顆粒球の一種であり、白血球全体の約45～75％を占め、強い貪食どんしょく能力を持ち、細菌や真菌感染から体を守る主要な防御機構となっている。
・好塩基球：好塩基球は白血球の一種で血中の約3％未満を占め、免疫監視（ごく初期のがんを検出して破壊するなど）や傷口の修復をする。また、ヒスタミンなどの化学物質（メディエーター）を放出し、アレルギー反応の開始に関与することがある。
・好中球：。白血球の一種で、急性細菌感染症や特定の真菌感染症に対する防御を担う。一般に、好中球は、血液中にある全白血球の約45～75％を占めている。
・骨髄：骨の中心部にあり、血液細胞（白血球、赤血球、血小板）をつくる組織のこと。 骨髄には、造血幹細胞と呼ばれる、すべての血液細胞に成長でき、かつ自分自身も複製することができる “血液の種”のような細胞が存在している 。
・胸腺：胸骨の裏にある組織で、骨髄で作られた未熟なリンパ球（Tリンパ球＊）が正常に働くようにする役割を担っている。 胸腺の機能は幼児期まで活発に働き、思春期で最も大きくなり、その後は年齢とともに萎縮していく。
・マクロファージ：直径15～20μmの比較的大きな（マクロ）細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫において重要な役割を担っている。 この細胞は、体内に侵入した細菌などの異物を食べる（ファージ）能力に優れており、食べた細菌を消化・殺菌することで、細菌感染を防ぐ。
・樹状細胞：その名前の通り樹木のような状態（木の枝のような突起）の細胞のこと。 もとは血液中の白血球の中の免疫細胞の一部で、血液によって運ばれ体の中のあらゆる場所に分布している。 樹状細胞は体内あるいは体の表面で異物を発見すると、それを自分の中に取り込み、リンパ球にその情報（異物のタンパク質の一部）を提示する。
・自然免疫：自然免疫は人間に元々備わっている防御機構で、免疫細胞が自分と自分以外（非自己）を認識することで、非自己である病原体をいち早く認識し、攻撃することで病原菌の排除を行う。
・獲得免疫：感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる仕組み。適応免疫とも呼ばれる。自然免疫に比べると、応答までにかかる時間は長く、数日かかる。