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▽作品解説
「ニュー・ウェディング」は新しい結婚式の形を提案するアートプロジェクトである。
2017 年 4 月 29 日(昭和の日)。私は 31 歳で入籍した。
今まで何度も友人の結婚式に出席してきたが、自分の挙式となるとイメージが湧いてこなかった。
一般的に結婚式といえば、教会式、神前式、人前式の3種類があるのだが、日常生活の中で宗教を意識する ことがないので、急に選択するとなると困ってしまった。
宗教といえば、私の実家は神道、夫の実家は仏教のお葬式をしている。それを踏まえると神前式、または仏前式ということになるのだろうか。
しかし、 突然に神様・仏様の前で永遠の愛を誓うのは違和感を感じてしまう。勿論、キリスト教でもないのにチャペルで挙式というのは論外だった。人前式という選択肢も考えたが、それ以前に〈そもそも結婚式とは何なのか〉という疑問が湧いてきた。
■日本における結婚式の歴史
調べてみると日本における神前式の歴史は思ったよりも浅く、明治時代中期に始まったものだった。
キリスト教の結婚式は唯一神との契約という意味があるが、八百万の神がいるとする多神教の日本では神前式という概念そのものがなかった。
しかし、開国によって欧米文化に習うことになり、キリスト教の結婚式や仏教のご祈祷の内容を参考にして新しく作られ たものが現在の神前式である。
やがて、高度経済成長期を境に結婚式は産業化していった。その背景には核家族化による住宅事情の変化などが影響していた。
時代と共に結婚式が変化する中で、自分は何を大切にしたいのか。神前式が作られる前の婚礼の儀式はどのようなものだったのかに興味が湧いた。
もともと日本では〈道具入れ〉〈嫁入り〉〈祝言〉の3つの行事を合わせて 婚礼の儀式としていた。〈道具入れ〉は花嫁道具を運びいれること 、〈嫁入り〉は花嫁が新郎家に移動すること、そして〈祝言〉は家に親戚縁者をもてなしてのお披露目会だ。この3つを1週間程度かけて執り行っていた。
〈道具入れ〉と〈嫁入り〉を現代の生活に取り入れることは難しいが〈祝言〉に近いものであれば実現可能なのではと考えた。
■2018年2月1 0日「ニュー・ウェディング」を企画
東京、神奈川、愛知、岐阜から両家の親族一同を熱海に招待して、一泊二日の大旅行会を行った。温泉に入り、浴衣を着て、夜は〈祝言〉を模した宴会場で大いに語り合い、親族対抗紅白歌合戦を行った。
旅行会を選んだ理由は、現代の住宅事情では〈祝言〉のように親戚一同が集まれる部屋がないことと、挙式・披露宴は行わず、新郎新婦と親族同士の交流の時間を最も大切にしたいと考えたからだ。これが私の新しい結婚式の表現である。
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この動画は2017年2月10日に開催したアートプロジェクト「ニュー・ウェディング」の記録映像です。おだわら城町アートプロジェクト2020でインスタレーション作品として展示しました。