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一枚の絵画、あるいは一つの作品を観ただけでそれがずっと心の中を占めてしまい、その作家に興味がわくという体験、印象的な美術作品との出合いというものがあります。アルベルト・ジャコメッティの細長い彫刻は私にとってまさにその通りで、はるか昔に初めて観た作品から忘れがたい強烈なインパクトを心に引っかき傷のように残しました。
ロダンのようなパワフルで力強い光や人間の内部をえぐるような深い闇を感じる彫刻ではないのに、なんだか気になる、面白いと思う、目が離せない、どうして?と疑問がわく、ジャコメッティワールドの不思議!
細長~い人物像は人間の本質(あるいは実存?)を描いているのではないかというのですが、難しい話は哲学者の方たちにお任せして、鑑賞者はただそこから何かを感じればいいのでしょう。それにしてもああ、この芸術家の頭の中が見てみたい!と思います。
さて、その答えを凝縮したような形で目の前にジャコメッティのアトリエがありました。何十年も過ごしていたイポリット・マンドロン通りのアトリエを壁ごと持ってきてしまって、写真を見ながら再現したという空間、そこには涙や汗まで感じる、たばこや絵の具の匂いまでリアルに漂ってきそうな完璧な芸術家の小宇宙がありました。ジャコメッティ財団の美術館はこれだけでも訪れる価値があると思います。
もちろんモンパルナス墓地わきのこの瀟洒な建物は趣があり、アール・ヌーヴォー好きとしては細部までチェックしてしまうのですが。(なんとトイレまでが美しいです)
このジャコメッティ財団の美術館はいずれアンヴァリッド前のかつてのエールフランスが使っていた建物に移転する計画があり、そちらにピカピカの美術館とともに美術学校やレストラン、ブティックなどの施設ができるのだそうです。なんか国を挙げてバックアップしているような得もいわれぬ底力を感じます。現代美術の先駆者としてピカソと双璧というべきか、奇しくも2人ともフランス人ではありませんが。
この動画はアルベルト・ジャコメッティというあまり日本では知られていない芸術家の美術館をご紹介するとともにモンパルナス地区のぶらぶらお散歩もご一緒に楽しんでいただきたいと思って作りました。たまたま見かけた古物市、モンパルナス墓地、質の高いマルシェ通りダゲール通りなど、ラフにご覧ください。
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