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北海道・知床半島からせり出すカメのような岩が、オホーツク海を見つめている。
カメの“甲羅”には8~9世紀の「オホーツク人」の集落跡があり、昨年2月に「チャシコツ岬上遺跡」として国の史跡に指定された。オホーツク文化はアイヌのルーツにあたり、古墳時代から鎌倉時代の頃に北海道やサハリンなどの沿岸部に広まった。
斜里町立知床博物館は住民の要望を受けて平成25年から4年間、遺跡の発掘調査を実施した。ヒグマの骨を積み上げた祭壇跡や魚などの骨、本州で流通した貨幣も出土している。
チャシコツはアイヌ語で「砦の跡」。ここには31の竪穴住居跡、墓などが密集している。海岸近くに集落を構え、漁労や海獣狩猟を生活の基盤とした。
岬には以前から集落跡があることは知られていたが、地元では「神聖な場所だから入ってはいけない」など言い伝えがあり、ほぼ手つかずの状態だった。現在は保護のため自由に立ち入れないが、知床連山をはじめウトロ港、網走方面など眺望けは抜群。外部からの襲来を発見するには最高の砦だった。
発掘に携わった同博物館の学芸員・平河内毅さん(29)は「とてもいい状態で遺跡が残っている。今後歩道や階段などを整備し、できるだけ早く多くの人に見てもらいたい。知床は自然だけでなく、文化的にも観光資源がある」と話す。
1200年前の生活に思いをはせてみる。カメが海を見つめるように、オホーツク人も北の海を眺めていただろうか。(写真報道局 宮崎瑞穂)