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2015年に国連総会で採択された持続可能な開発目標、SDGs。すべての国連加盟国が2030年までの達成を目指す行動計画です。今回は、その17の目標のうちの目標8、「働きがいも経済成長も」について考えます。
働き方改革の一環として、時間外労働の上限が原則、月45時間、年360時間に定められていることは皆さんご存じですよね。運送業や建設業、医師などについては、環境の改善には時間がかかると判断されたため猶予が与えられてきましたが、来年の4月から、この上限が適用となります。
こうしたなか、石川県内の建設業としては、いち早く長時間労働の是正に取り組んできた企業があります。業務の効率化を目指す、現場の声を取材しました。
建物の企画・設計・施工までを行う、建設総合サービス業の「トーケン」。金沢市と小松市を拠点に、およそ80人の社員が働いています。
長時間労働を是正するカギの一つは、建設現場にありました。現場に導入されているのは「ライブカメラ」。5年ほど前、県内の建設業でいち早く活用を始めました。
映像は、現場近くに設置される事務所や、本社などにリアルタイムで配信しています。カメラは360度回転し、拡大することもできるので遠隔地から作業の「見える化」が実現したといいます。
こちらの建設現場で、所長を務める松井豊さん。カメラを導入する前は、進捗状況を確認して部下に指示をし、安全点検のため、1日の半分以上を現場で過ごしていたといいます。
現場監督は書類作成などの事務作業も多く、残業は増える一方でした。ライブカメラが導入されてからは、配信される映像を見て作業ができ、松井さんが現場にいる時間は、1日1時間ほどにまで短縮。残業時間も1日2時間ほど減ったといいます。
ライブカメラの導入にあわせて設けた部署が「生産支援センター」です。本社で勤務する女性の社員が中心となって、本来の事務作業とあわせて、建設現場で必要な書類の作成を支援します。
繁忙期には、現場の事務所に駐在し、現場での事務作業を減らすことにつながっています。
2018年度には、現場の社員の時間外労働時間が最も多い人で月に90時間を超えていました。その後、2020年度には、平均で月60時間、そして昨年度は、平均で月に27時間にまで削減されました。
そもそも、長時間労働は心身にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
石川県医師会の副会長で、産業医を務める上田博医師に聞きました。
長時間労働は、疲労が蓄積する原因の一つです。睡眠不足によって疲れが取れない、頭痛やめまいがする、食欲がなくなるという症状から始まり、疲労がとれないまま仕事を続けると、虚血性心疾患、脳血管疾患、メンタルヘルス不調などの疾患につながるリスクが高まるといいます。また、仕事の効率も悪くなる一方だと指摘します。
建設総合サービス業の「トーケン」。業務の効率化に向け、設計部でも改革が進んでいます。
建物の立体モデルを構築する新たなシステム「BIM」を導入し、今年3月、専門の部署を立ち上げました。
これまでの設計は、2次元の図面を作成してから3Dモデルを作り出していました。
BIMは最初から、3D画面で図面を作成できるので、設計業務の効率化につながると考えています。
建設業では、来年4月から長時間労働の上限が適用されます。
トーケンでは、業界全体で働き方改革への意識を共有しながら取り組みを続けていきたいと考えています。