上川外務大臣会見（令和6年5月31日）

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上川陽子外務大臣会見記録（要旨）
《令和５年５月３１日（金）　１３：２１　～１３：３０　　　於：本省会見室》
【主な項目】冒頭発言
（１）パプアニューギニア地滑り被害への緊急無償資金協力
（２）日・モロッコ外相会談
【質疑応答】
○中国海警局による新規則の公表
○北朝鮮から韓国への風船飛来
○ガザ情勢
○トランプ前大統領に対する有罪評決
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○冒頭発言
（１）パプアニューギニア地滑り被害への緊急無償資金協力
【上川外務大臣】私（上川大臣）から、２件でございます。
まずは１件目。パプアニューギニア独立国エンガ州で発生した地滑りにより、甚大な被害が生じています。これを受けて、先般、ＪＩＣＡを通じた緊急援助物資の供与を決定したところでありますが、これに加えまして、２００万ドル規模の緊急無償資金協力による支援を実施する考えです。
我が国といたしましては、ＷＰＳの視点に立った支援が重要と考えており、この資金協力により、特に脆弱な女性や子供のための水・衛生分野での支援を含め、避難を余儀なくされている人々が必要としている支援を行う予定であります。
日本政府として、今回の支援を迅速に実施するとともに、パプアニューギニアの人々に寄り添い、被災地の人道状況の改善に向け、各国・国際機関とも連携しつつ、被災地の一日も早い復旧・復興に向け、必要な支援を積極的に行ってまいります。
（２）日・モロッコ外相会談
【上川外務大臣】続きまして、２件目であります。
本日、訪日中のブリタ・モロッコ王国外務・アフリカ協力・在外モロッコ人大臣と、外相会談及びワーキング・ディナーを実施いたします。
　　日本とモロッコは、皇室・王室の友好関係を基礎として、長年良好な関係にあります。また、モロッコは、欧州とサブサハラ諸国をつなぐ、アフリカ市場へのゲートウェイとして、ビジネスや投資等の多くの分野で、ポテンシャルがあります。
　　今般のブリタ外務大臣の訪日を通じ、日・モロッコ関係を一層強化し、二国間の連携を更に深めたいと考えております。特に、日本企業がアフリカ地域への進出拠点として高い関心を有し、近年、投資誘致に取り組むモロッコと、我が国との経済関係強化の方途につきまして、深掘りして行っていきたいと思っております。また、中東情勢を始めとする地域情勢等につきましても、率直に議論をしたいと考えております。
　私（上川大臣）からは以上です。
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○中国海警局による新規則の公表
【読売新聞　上村記者】中国による海上法執行の関係でお伺いします。海外の報道によりますと、中国外務省が、今月、中国領海内に侵入した外国人を中国海警局が最大６０日間を拘束できるとする新規則を定めて、６月１５日から、それを施行すると報じられています。フィリピン政府が、反発しているようですが、中国政府は、日本の沖縄県尖閣諸島の領有権を主張しており、この新規則の対象には、日本の領海も含まれるように見受けられますが、日本として把握しているこの新規則の内容と、それに対する見解と、今後の対応についてお聞かせください。
【上川外務大臣】御指摘の中国側の発表につきましては承知しており、その内容も含めまして、中国の海洋分野におきます動向については、従来から高い関心を持って注視しているところでございます。
政府といたしましては、本規則の施行によりまして、我が国を含みます、関係国の正当な権益が損なわれることがないよう、関連する動向につきまして、引き続き注視していく考えであり、中国側に対しましては、こうした考えについて外交ルートを通じて、しっかりと申入れしているところであります。
○北朝鮮から韓国への風船飛来
【共同通信　西山記者】北朝鮮情勢について伺います。北朝鮮は、２８日から、汚物やゴミが入った袋をぶら下げた大型風船を韓国へ飛ばし、一部は、ソウルの日本大使館が入るビル屋上にも落下したと報道されています。日本政府としての受け止めと、対応をよろしくお願いします。
【上川外務大臣】北朝鮮の動向につきましては、平素から重大な関心を持って、情報収集、そして分析に努めているところであります。
関連する報道の一つ一つにつきまして、コメントすることは差し控えさせていただきますが、一般論といたしまして、こうした行為が、南北間の緊張を高め、事態のエスカレーションにつながらないことが重要であります。
いずれにいたしましても、北朝鮮への対応につきましては、引き続き、必要な情報の収集・分析、そして警戒監視に全力を挙げていくとともに、関係国と緊密に連携して対応してまいりたいと考えております。
○ガザ情勢
【ＮＨＫ　五十嵐記者】中東情勢の関係で伺います。イスラエル軍は、２９日「フィラデルフィア回廊」と呼ばれるガザ地区南部ラファハとエジプトとの境界地帯の全域を制圧したと発表しました。また、イスラエル政府の高官は、地元メディアのインタビューで、「ハマスの統治能力と軍事力を破壊するための戦闘は、今後７か月続く」と述べ、ガザ地区での軍事作戦は長期化する見通しを示しました。日本政府としての受け止めや対応を伺います。
【上川外務大臣】我が国として、戦闘が長期化する中にありまして、ガザにおける危機的な人道状況、また空爆などによりまして、多数の民間人が犠牲となっていることを深刻に懸念しているところであります。
　既に述べてきているところでもございますが、多数の避難民が集中するラファハにおきましての全面的な軍事作戦には反対であります。人質の解放が実現するよう、そして、人道支援活動が可能な環境が持続的に確保されるよう、即時の停戦を求めるとともに、それが持続可能な停戦につながることを強く期待しているところであります。
５月２７日の、私（上川大臣）とイスラエルのカッツ外相との電話会談におきましても、こうした日本の立場を伝えるとともに、ラファハ検問所の活用を含めまして、人道支援活動が阻害されることのないよう求めたところでございます。
　何と言っても、人質の解放と持続可能な停戦が実現できるよう、関係国と緊密に連携をしながら、引き続き、外交努力を粘り強く積極的に行ってまいりたいと考えております。
○トランプ前大統領に対する有罪評決
【共同通信　西山記者】米国の大統領選について伺います。トランプ前大統領が、不倫の口止め料を不正に会計処理したとされる事件で、ニューヨーク州地裁の陪審は、３０日、全３４の罪状で、有罪評決を下しました。米国大統領経験者への有罪評決は、初めてです。大統領選に与える影響をどう考えるか、受け止めをよろしくお願いします。
【上川外務大臣】御指摘の評決が下されたことが承知しておりますが、他国の司法手続に関わる事項につきまして、コメントすることは差し控えたいと思っております。
また、大統領選挙への影響について、日本政府としてお答えする立場にはございません。予断を持ってお答えすることにつきましても、差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、関連動向は注視しておりまして、引き続き、情報収集を行っていきたいと考えております。
（了）