[Skyrim SE] ブリークフォール墓地は恐ろしい！27 [MOD] その７

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途中色々なことがあった。
魔物と化した古の戦士、実体のない浮遊霊に血に飢えた獣・・。くぐもった反響が今にも崩れそうな迷宮に木霊し、心臓を鷲掴みにする。
見たこともない敵を前にただ怯え矢を射、剣をやみくもに振り回していた俺に対して、冷静かつ適切に墓の守護者を処していく彼女の姿は如何に頼もしかっただろう。・・いやまあ眺めるどころじゃなかったんだけどね・・
また、大きな蜘蛛に捕まっていた変なコソ泥にも会った。その蜘蛛については言うに及ばず六花さんの魔法でイチコロだった。「あなたも捨てたもんじゃないさ」と励まされたが、どこに自分の良いところがあったのか尋ねたが、「そのうち教えてやる」と言ったきり黙ってしまった。
男は盗んだ金の爪を返す代わりに蜘蛛の巣から降ろしてくれと提案してきた。盗賊を信用できないのはシロディールに居た頃から骨身にしみて分かっていた。六花さんも気を付けてと言って後ろに下がった。
どっちにしろこの男を下に降ろさなければ話にならないので、慎重に剣で蜘蛛糸を捌いてやった。
男は「バカめ」と吐き捨て迷宮の奥へと走り逃げた。逃げるだろうことは予想していたがまさか迷宮の奥に逃げるとは・・。六花さんも目を閉じてしまった。
結局、逃げ足の速い男は少し行った先で冷たくなっていた。腰の小物入れを探ると金色のドラゴンの爪を模した置物を見つけた。ふう、やっとか。俺は深い溜め息をついてしゃがみ込んでいると、六花さんがそばに来て「魔物は全部始末したし、これからどうする？」と俺の顔を覗き込んだ。
どうしよう。このまま村に戻ってもいいが、王宮魔術師の依頼は確か古来の石板を持ち帰ることであったのを思い出した。
戦いはあまり慣れてはいないが余力はある。それに心強い援護も期待できる現状、後戻りをする理由は見つからなかった。
「進もう」
俺の目線の先には、さらに迷宮の奥のどんよりとした暗がりが口を開いていた。
しばらくは特に問題もなく魔物との戦闘やいやらしい罠の攻勢をしのぎきった。最初は嫌な予感しかなかった迷宮も、慣れてくると美しい古代の彫刻や綺麗な水場を楽しむ余裕さえ生まれてくる。でも気は引き締めないと。
封印された荘厳な扉を抜けると一段と広い洞窟に出た。途中逃げだす蝙蝠に少々ビビらされたが、空気が一変したこの空洞は何か他とは違う重い淀みを感じていて身が引き締まったような気がした。
そういえば、と振り返り「なぜあの扉の仕掛けが分かったんですか？」と頼もしい魔術師様に聞いてみた。彼女もこの神秘的な大広間を口を開けて見ていたようで、俺の問いかけにハッとなり聞き返してきた。
「金の爪、あれの扱い方をなんで知ってたんです？」繰り返した。
「いやなに、以前にも似たような仕掛けを見たことがあるのです」と笑いながら答えた。以前は冒険者だったのだろうか、確信に満ちていた。
少し休憩しよう、と六花さんは話を遮り俺も同意した。
先を急ぐ必要はない。そう思いながら水筒の水を一気に飲んだ。
この巨大な迷宮がどれほどの大きさか分からないのだ。
体力を温存し、余力を溜める必要がある。近くの岩に背中を預けながら洞窟の霞ごしに見える彫刻が施された壁を見ながら考えていた。