武士道Bushido100(514)

(514)武士道Bushido100「武士道ルネサンス」
「山田風太郎著『人間臨終図巻』（徳間文庫）
より抜萃　　『箴言・格言・金言』　　No.3（終） 」武士道ルネサンス
アスチルベ　　Marimba　Chill
・73歳
「『人間は、他人の死には不感症だ、といいながら、
　なぜ『人間臨終図巻』など書くのかね』
　『・・・いや、私は解剖学者が屍体を見るように、
　さまざまな人間のさまざまな死を見ているだけだ』――山田風太郎」武士道ルネサンス
・74歳
「自分が消滅したあと、
　空も地上もまったく同じ世界とは、
　実に何たる怪事。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・75歳
「老いても、生きるには金がかかる。――人間の喜劇。
　老いても、死ぬには苦しみがある。――人間の悲劇。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・76歳
「死とは・・・・モーツァルトが聴けなくなることだ。
　――アインシュタイン」武士道ルネサンス
・77歳
「地上最大の当然事――他人の死。
　地上最大の意外事――自分の死。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・78歳
「人間は青年で完成し、
　老いるに従って未完成になってゆき、
　死に至って無となるのだ。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・79歳
「人間『うまいものは、一番あとにとっておこう』
　癌（がん）『食い物の話なら、それもよかろうが。・・・・ワハハ』――山田風太郎」武士道ルネサンス
・80歳
「死ぬとは、とても手間のかかるものだな。
　――アナトール・フランス」武士道ルネサンス
・81歳
「彼らは、そのゆくさきが墓場である、
　いりくんだ道を、セカセカと急ぎ足にゆく。
――ムンク」武士道ルネサンス
・82歳
「人間たちの死は『臨終図巻』の頁（ページ）を順次に閉じて、
　永遠に封印してゆくのに似ている。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・83歳
「自分が死ねば、世界も宗教も、
　神そのものも消滅するのだ。
　――正宗白鳥」武士道ルネサンス
・84歳
「これこそまさに昼と夜のたたかいだ、
　と死床のユゴーはいった。
　しかし、夜の次にもう昼は来ない。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・85歳
「『人生は生きるに値しない』と幸福な若者は無頓着（むとんじゃく）に歌った。
　が、八十五のときロバに蹴られると、この男は叫んだのだ。
『早く医者を呼んでくれ』
　――ハン・ソーパー」武士道ルネサンス
・86歳
「長命者は大空に残った薄雲（うすぐも）に似ている。
　いつまでも消えないな、と眼を離すと、
　いつのまにか消えている。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・87歳
「人間には早過ぎる死か、遅すぎる死しかない。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・88歳
「左様（さよう）ならが言葉の最後耳に留めて心しずかに吾を見給え
　――松村英一」武士道ルネサンス
・89歳
「『ドンドン、いつまでしゃがんでるんだ。
　長い行列が出来てるんだ。
　お願いだ、早くすませてそこをあけてくれ、ドンドン』
　『すまん、それはわかってるんだが・・・・
　年がよって、思うようにはゆかんのだ。・・・・』――山田風太郎」武士道ルネサンス
・90歳
「・・・・・意味があって、長生きするのではない。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・91歳
「留守（るす）と言え
　ここには誰も居（お）らぬと言え
　五億年たったら帰って来る――高橋新吉」武士道ルネサンス
・92歳
「わざわいなるかな老いて痴呆と病苦に陥らざる者、
　彼は死への憧憬（どうけい）を持つ能わざればなり。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・93歳
・94歳
「残り少ない余命の死が、
　残り多い余命の死と、
　苦痛において同量だとは。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・95歳
「人間の死ぬ記録を寝ころんで読む人間――山田風太郎」武士道ルネサンス
・96歳
「別れの日。
　行く人『やれやれ』
　送る人『やれやれ』――山田風太郎」武士道ルネサンス
・97歳
「老いて世から亡霊的存在と見られるようになったとき、
　その人間からは現世もまた亡霊的世界に見える。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・98歳
「生者は死者の為に煩（わずら）わさるべからず。――梅原竜三郎」武士道ルネサンス
・99歳
「死者への記憶は、
　潮（しお）がひいて砂に残った小さな水たまりに似ている。
　やがて、それも干（ひ）あがる。――山田風太郎」武士道ルネサンス
・100代
「人は、忘れられて死んだほうが幸福である。
　なぜなら、彼はもう音もなく死んでいるのだから。――山田風太郎」武士道ルネサンス