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陽人の法話:五観の偈 ~食べること、それも修行~
【五観の偈】
一、計功多少 量彼来処 : 功の多少を計り、彼の来処を図る
二、忖己德行 全缺應供 : 己が徳行の全欠を忖って供に応ず
三、防心離過 貪等為宗 : 心を防ぎ過を離るることは貪等を宗とす
四、正事良薬 為療形枯 : 正に良薬を事とすることは形枯を療ぜんが為なり
五、為成道故 今受此食 : 成道の為の故に、今この食を受く
「意味」
一、この食事がどのようにしてできたかを考え、食事が調うまでの多くの人々の働きに感謝します。
二、自分の行いが、この食を頂くに価するものであるかどうか反省します。
三、心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、貪りなど三つの過ちを持たないことを誓います。
四、食とは良薬なのであり、身体を養い、正しい健康を得るために頂きます。
五、今この食事を頂くのは、己の修行を成し遂げるためです。
〇 陽人の随想録 ~ 食事とは修行なり ~
以前、この随想録に書いたことがありますが、真言宗の僧侶となるためには、一年間籠りきりの修行をしなければいけません。
三学期に分かれていて、一学期は、修行道場の生活に慣れること、読経や掃除など修行の基本を学びます。
そして二学期は加行という本格的な修行に入り、一日三座の修法を百二十日間続けます。三学期は、自坊に帰ってからに備え、実践的なことを学んでいきます。
一年通して大変なのですが、やはり最初が一番大変だったことを覚えています。少ない睡眠時間、慣れない正座、何の娯楽もなく、会いたい人にも会えません。
今まで、当たり前だったことが、どれだけ幸せなことであったのか思い知らされました。
食事は質素な精進料理で、当然お菓子などはありません。文字通り「甘さのない」生活でありました。
修行が始まって二か月ほど経った頃、先輩僧侶の方から我々修行僧に初めて差し入れを頂きました。差し入れは「黒飴」でした。
正直、それまで黒飴は好きではありませんでしたし、自分で買ったこともありませんでした。
しかし、有難く頂戴した黒飴ですので、皆で分け合って食べました。食べた瞬間「こんなに甘くて美味しいものがこの世にあったのか」と大袈裟でなく、そう思いました。涙が溢れるほど美味しかったことを覚えています。
修行僧としては、あるまじき姿ではありますが、余った黒飴をかけて真剣にジャンケンで争ったものでした。
修行道場を卒業して幾年か経ちましたが、黒飴を買うことはありません。元の木阿弥と言えるかもしれませんが、あの時美味しく感じた感動は今も覚えています。
つくづく「幸せ」とは相対的なものだなと思います。
修行道場の時は、黒飴一つでも、幸せと感じることができました。あの心を忘れてはいけないと反省しています。
冒頭にご紹介しました「五観の偈」は、修行道場で食事をいただく前に行う食事作法(じきじさほう)の中に出てくる偈文です。
食事と向き合う為の大切な教えです。食事ができるまでには、天地自然の恵みや、お百姓さんや漁師さんの働き、運搬する人、売る人、買う人、調理する人。
目には見えない多くの方々の支えがなければなりません。そのような有難い食事を頂くに値する自分であるかを反省します。
僧侶であれば、修行を積めているか反省するのです。
人はお腹が満たされると穏やかになれます。
貪りや怒りなどに囚われない、穏やかな心でいる為に、食事を頂くと考えます。
この食事によって自分の身体が形成されることを理解し、健康な身体の為に頂くことを考えます。
そして、食事とは他の命を頂くということ。
頂いた命は決して無駄にしないこと。この食事で得たエネルギーを他の為に使っていくことを誓うのです。
自分中心の考えから脱し、他の為に行動していく。これが菩薩行という修行であります。
修行道場では、食事作法を行い、一切の音をたてずに食事します。もちろん話すこともしません。
最初は理解できませんでした。
なんて窮屈な食事なのだと思いましたし、話しながら、楽しく食べたほうが良いではないかとも思いました。
しかし、作法を通じて、目の前にある食事の意味に気づき、食事そのものが最も大切な修行の一つなのだということが段々とわかるようになりました。
日々、忙しさに追われ、ただ口の中に食べ物を詰め込むような食事になってはいませんでしょうか。
他のことを考えながら、あるいは、テレビを見ながら、携帯を触りながら食事していませんでしょうか。
皆さんも食事をいただく時、この「五観の偈」を意識してみてはいかがでしょう。
そのように食事と向き合うことで、毎日の暮らしが、菩薩行に通じ、感謝に満ちた穏やかなものとなっていくはずです。
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