@@russian_blue-u3p さん、私も『ハナミズキ A Hundred Years』絵本の英訳を観ました。 日本の文学に精通していて、日本文化にもとても詳しく、日本にずっと在住しているアーサー・ビナードさんであっても、英訳は難しいのだと思います。 一青窈さんのような歌詞スタイルのフレーズの英訳はさらにハードルが高いと思います。 主語も副詞も動詞も省略されている部分が多く、英訳したアーサーさんが「一青窈さんは宮沢賢治に恋文を書いているかのような歌詞を書いている。」と感じたように、一青窈さんはどの歌の歌詞でも日本語のフレーズ特有の表現をされます。 彼女自身が幼少期から宮沢賢治の詩を読み、ご自身でも詩を書いていてたというので、日本文学に精通している方なら、それを感じるのかもしれません。 ここにハナミズキの絵本の一部を抜粋してみますが、見比べると、その違いを感じられるかもしれません。 ⬛ 一青窈さんの〝ハナミズキ〟歌詞オリジナル抜粋 僕の我慢がいつか実を結び 果てない波がちゃんと 止まりますように 君と好きな人が 百年続きますように 絵本『ハナミズキ A Hundred Years』より 🟩 English translation by Mr. Arthur Binard, an American poet (アーサーさんの英訳) All my patience and my pain erupt to part the sea and tame these waves that separate you from me. Only then can love begin. I pray our love may last a day, a week, a month, at least a hundred years. 🟧 英訳された詩を再度、日本語翻訳 私の忍耐と痛みのすべてが噴き出し、海を分け、あなたと私を隔てる波を鎮めます。 そうして初めて愛が始まります。 私は私たちの愛が1日、1週間、1ヶ月、少なくとも100年続くことを祈ります。 オリジナルの歌詞に主語は明記はされていませんが、この場面において、『僕』は『君たち』を見守り、祈る側で、『君と君の好きな人』(彼ら)の幸せを願っているシチュエーションなのに、英訳は『僕と君』(二人だけ)の話になっています。 英語だと、日本的解釈の慈悲や無償の愛情が薄まってしまったように感じます。 絵本は絵があって、日本語の詩(歌詞)と英訳があって、私なら楽曲も知っているので、全体のストーリーを一青窈さんのオリジナルと大差なく感じられますが、単に英訳だけ読むと、やはり、イメージがなんか違うと感じてしまいます。 でも、絵本全体のテーマが大きくずれているわけではないので、絵本として完成しているといった印象を受けました。 日本人にとって、日本語の良い意味での曖昧さや省略の表現は英語にとっては、強敵なのだと思います。