修證義第三章受戒入位【全国曹洞宗青年会】

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修證義とは、道元禅師の著した『正法眼蔵』の教えを、一般の方にもわかりやすく伝えるため、明治期にまとめられたお経です。
曹洞宗の教えの大切な要として位置づけられ、全5章31節で構成されています。
【修證義　第三章　受戒入位】
【現代語訳】
●第１１節
最高の人格を持つ仏さま、その仏さまに達するための真理の法、そして、その法を心の支えにして修行を続ける僧侶を「三つの宝」といいます。仏さまの教えを仰ぎたい人は、この三つの宝を深く敬い、常に心の支えとする必要があります。インドから中国を経て、真実の道を正しく伝えてこられた仏さまの生きざまは、この三宝を敬い、尊ぶことでした。
●第１２節
欲望のままに生きている人は、三宝の名を耳にすることはなく、当然、これらを心の支えにすることもありません。そうした人はいつも何かにおびえ、つい得体の知れない神を憑(たの)みとしがちです。よこしまな教えにすがるような愚かなことはしてはなりません。そのようなものを心の支えにしても、苦しみから逃れることはできません。一日も早く三つの宝を心の支えとし、あまたの苦しみから解き放たれ、正しい智慧に目覚めることこそ歩むべき道です。
●第１３節
三つの宝に身を任せる心得は、迷うことなく信じることです。いつ何時も合掌し、「南無帰依仏・南無帰依法・南無帰依僧」とお唱えするのです。常に、仏さまに身を任せ、迷いから解き放ってくれる法を謹んで受け、優れた友である僧侶と親しくすることです。仏さまの弟子になるには、必ずこの「仏法僧」の三宝に身を任せる必要があります。仏教の世界にはさまざまな戒律がありますが、どんな戒めを受けようとも、まず三宝に身を委ね、その後でいろいろな戒めを受けるべきです。三宝に身を任せることで初めて、戒めを受けることができるというべきでしょう。
●第１４節
自らを仏さまに委ね、三宝を絶対的な心の支えとするとき、あなたの心と三宝の徳が響き合い、交わり合い、一体となります。ひとたび仏法を学び、仏さまと身も心も一体となれば、すべて身を任せることができます。一度そうした経験をすれば、時と場所を選ばず、精進の気持ちが芽生え、すばらしい悟りの道を得ることができるでしょう。三宝に身を任せることの尊さ、奥深さは、お釈迦さまがすでに証明していることです。私たちはみな、心から信じてその道を進むべきでしょう。
●第１５節
次には、三つの誓いが必要です。第一に、すべての不善を為さないこと、第二に、あらゆる善行に励むべきこと、第三に、永く世のため人のために尽くすことです。そしてさらに、十の禁戒（いましめ）を守ると誓わなければなりません。第一に、命あるものを殺さない、第二に、他人のものに手を出さない、第三に、よこしまな淫欲にふけらない、第四に、嘘をつかない、第五に、酒に溺れて仕事をおろそかにしない、第六に、他人の過ちを責めたてない、第七に、己れを誇り他人を傷つけない、第八に、なんでも他人に施すことを惜しまない、第九に、怒りで自分を失わない、そして第十に、仏法僧の三宝を謗らず、ひたすら信じること。三宝への信仰と、三つの清らかな誓い、そして十の戒めを実行することこそ、仏さまが正しいと信じ、歩んできた道なのです。
●第１６節
戒めを受けることは、いつの時代も仏さまが悟りを開いた唯一の道であり、これにより仏さまの完全な人格が確実にそなわるようになります。智慧ある人なら、誰もが進んでこれを求めることでしょう。お釈迦さまは、この世のすべでの人たちにこの理を示しています。みなさんが仏さまの戒めを受け、誓いを立てれば、仏さまと同じような悟りを開くことができ、優れた人格者としてお釈迦さまと同じ資格を得ることができます。間違いなく仏さまの子となることでしょう。
●第１７節
仏さまが、いつ何時も安らかに暮らすことができるのは、そのように意識しているからではありません。そうせずにはいられないからです。戒めを謹んで受け、長く仏道の中に生きていると、あれこれ思い悩むことがなくなります。それは、ちょうど自然界の現象とも似ていて、垣根から壁土、瓦や小石に至るまで、それぞれがみな各々の役目を果たすのと同じです。風の恵みで草木は花を開き、実を結び、木の流れにうるおいを得る。つまり、互いに関係し合いながら、自らも生かされ、周囲のものを生かしているのです。そうした助け合いの中で、自らの役目を果たすことで、おのずと悟りが開かれていくのです。これは、あらかじめ決まったことで、戒めを受け、誓いを立てる生き方こそが悟りを求める心を起こすことになるのです。
訳文（曹洞宗曹洞禅ネット www.sotozen-net.or.jp より転載）
協力：東三河曹洞宗青年会
『修證義』各章はこちらよりご視聴いただけます。
●第一章『総序』新撮版
kzbin.info/www/bejne/n6rZq6mhp5Kaf7s
●第二章『懺悔滅罪』
kzbin.info/www/bejne/gaPFf513eM52i8U
●第四章『発願利生』
kzbin.info/www/bejne/hmXKg2mChceWg6M
●第五章『行持報恩』
kzbin.info/www/bejne/q6K9n61thJx8oJI
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