僕の趣味は、可愛い女性vtuberの切り抜きを作ることだった。 　そして本人がその切り抜きを見つけると、とても可愛い反応を見ることができる。 「ちょっと、何してくれてんのよ！　全くもう……許さないんだからね。シバき倒してやる！」 　僕は可愛い女の子に弄られたり、ドSな発言をされるのが大好きだった。 　更に今度はそのシーンを切り抜くことによって、工口い切り抜きが更に量産できるのである。名付けて切り抜き二毛作作戦！ 　僕は夢中で切り抜きを作りまくり、徹夜を繰り返した。そしてある日のこと、車の運転しているときに前の車とぶつかってしまった。 「おいこらぁ、免許持ってんのかー！？」 　前の車から、背が低くて可愛らしいツインテールの女の子が出てきた。 「す、すみません、許してください、何でもしますから」 「ん？　今なんでもするって言ったよね？」 「はい！　本当になんでもします！　なんでも要求してください！　顔を踏んずけたり、お尻ぺんぺんとかされても大丈夫です！」 　僕が食い入るように声をあげると、女の子は困惑した表情を見せた。 「う、うわぁ……そう言われると逆になにもしたくなくなってくるんだけど……ドン引きだわぁ……ま、まあ、何かに使えるかもしれないし、一旦持ち帰ろうかしら」 　女の子は縄を取り出すと、僕をグルグル巻きにして車のトランクに仕舞った。 　車のエンジン音と、ガタゴトと揺れる音だけがしばらく響き続けた。 　エンジンの音が止まると、僕は女の子に担ぎ上げられて、木造のオシャレなお店の中に運ばれた。看板には「メデア魔法具店」と書かれていた。 　――まさかこの人はメデアさん！？―― 　メデアさんは僕のお気に入りのvtuberだった。確かによく思い出してみると、この女性の声はメデアさんとそっくりだった。 「メデアさんお帰りー」 　狭い店内に甲高い声が響いた。その方を向くと、草のような姿をした小さな生き物がたくさんいた。 「だたいまー。今ね、私の車に追突してきたド編隊をとっ捕まえてきたから、これから徹底的にシバいてやるところよ」 　その言葉を聞いて、僕は思わずムフムフと声を漏らしながら笑ってしまった。 「う、うわぁ……そんなにシバかれたいの？　この編隊！　ドヌケベ！」 　メデアさんは小部屋に僕を担ぎ込むと、縛っていたロープを外した。 「さあ、先ずは犬の真似絵をしてもらいましょうか。ヨツンヴァインになるのよ。早くしなさい！」 　僕は言われるがままに四つん這いになり「ワンワン」と言った。 「うわぁー……本当にノリノリでやるわね。女の子にいじられて楽しいとでも思ってるんでしょ！？」 「ち、違います！　内心ではとても苦しんでいます！　なのでもっと指示をした方が良いと思います！」 　僕が満面の笑みでそういうと、急に男性的な声が響いた。 「それじゃあ、次はﾋﾟｰをしてもらおうかな」 　一瞬、その声の主が誰なのか理解できなかった。しかし下半身がﾋﾟｰになったメデアさんにﾋﾟｰが付いてるのを見て、その声の正体を理解してしまった。 「な、なんだって……男……！？」 　あの可愛らしいメデアさんの正体は、女装した美少年だったのだ。 「さっき、何でもするって言ったよね？」 　美少年のﾋﾟｰが、僕の眼の前で高らかにそそり立った。 「お、男の……こんな汚いものを……くっ、やるしかないのか……」 　僕は覚悟を決めてﾋﾟｰをﾋﾟｰった。とても屈辱的な気分だった。 　しばらくすると、急にﾋﾟｰが僕の口から引き抜かれて、同時に顔面に何かが飛び散った。 「うぇ……な、なにこれ……」 　手で顔面を拭った。僕はすぐにそれがﾋﾟｰであることを悟った。僕の顔面は美少年のﾋﾟｰまみれになってしまったのだ。 「今度は君の番だよ」 　背後から抱き着かれる共に、美少年の声が耳元で響いた。僕はﾋﾟｰの中に手を入れられ、ﾋﾟｰを握られてしまった。 「くっ……男なんかで出してたまるか……」 「そうか、君は男同士でするのは初めてなんだね？　大丈夫大丈夫、怖がることなんてないんだぞ」（【FF14】がーんばれ、がーんばれッ！ウェポンシリーズを破壊するのだ！【メデア・メディック】を2:30:31から再生） 　美少年の囁きが耳元で響き、全身に悪寒が走った。 「男なんかで……出さない……絶対に……」 「うるせえ口だな。俺が塞いでやるよ」（【深夜雑談】バ美肉Vtuberは「みんなのクソマロ」を燃やしたい。【メデア・メディック】を2:21:27から再生） 　美少年は僕の頭を無理やり掴み、そして口を塞いだ。 「んっ……んんー！」 　僕は必死にもがいたが、上手く抵抗できなかった。 　口を覆っていた感触がなくなったかと思うと、今度は耳元でメデアさんの可愛い声が響いた。 「ほら、だーせ、だーせ。出しちゃえばスッキリするのに」（【ミラージュフェザーズ】新作！可愛くて面白そうな奥行き弾幕シューティング！【メデア・メディック】を1:45:58から再生） 「だ、出してたまるか……男で出したら一生の恥……！」 「おら、出せ！　だーせ、だーせ、だーせ。出ないねー」（【異変麻雀】麻雀はフィーリング！異変なんてありません！【メデア・メディック】を2:54:35から再生） 　メデアさんの可愛くてドSな声に惑わされ、僕はﾋﾟｰしてしまった。 「うぅ……うぅ……」 　あまりの屈辱に、僕は床に倒れて呻くことしかできなかった。 「……あれ、あんたまさか、私の下品な切り抜きを作ってるリスナーね！？」 　声の方を向くと、メデアさんは僕のスマホを勝手に操作して中身を見ていた。 「うぅ……ごめんなさい……」 「車をぶつけるだけじゃなくて下品な切り抜きまでするなんて最低ね！　これからは私の奴隷として働いてもらうんだから」 　こうして僕はメデアさんの奴隷になってしまった。 　――完――

ある日の配信のことだった。 「えーっと……聞こえてますかー？」 　メデアさんが配信を始めたのだが、声がいつもより明らかに低かった。まるで美少年のような声だった。 『声が低い！』 『ちょっと、ボイチェン外れてる！』 　慌ててリスナーたちがコメントに書き込み、メデアさんはすぐにボイチェンを入れた。 「き、聞こえてますか？　これで大丈夫ですか？　はい、セーフですね！　アハハ」 　メデアさんはセーフだと言い張っていたが、明らかに地声がバレバレだった。 　そのアーカイブは非公開になるだろうと思っていたが、何故か公開されたままになっていた。 　――公開されたままってことは、切り抜いていいってことなのか！？―― 　早速、そのアーカイブを切り抜いて動画にまとめた。しかしこんな大事故を切り抜いて大丈夫なのか不安になったので、翌日の配信中にメデアさんへ確認を取った。（2024/09/07【ミラージュフェザーズ】新作！可愛くて面白そうな奥行き弾幕シューティング！【メデア・メディック】を9:13から再生） 『￥500 そういえば昨日のボイチェン事故って切り抜いても大丈夫ですか？　見たくない人がいるかもしれないので、警告は念入りに付けます』 「はい、ピリジャーさん500円スパチャありがとうー。え、昨日のボイチェン？　あれは切り抜かない方が良いと思いますよ……」 『切り抜かい方が良いだけで、切り抜いてもいいってことですか！？』 「いや、切り抜かない方が良いってことは切り抜いちゃダメってことでしょ。アハハ……もう全く」 　メデアさんは呆れた様子で笑った。 　切り抜き許可が出なかったため、ボイチェン事故の切り抜きは自分専用の動画として保管されることになった。 　アーカイブを非公開にしてないのは、てっきりボイチェン事故を気にしてないからなのかと思っていたが、そういうわけではなさそうだった。 　何故わざわざアーカイブを公開したままにしているのかは分からないが、その配信中に色々なvtuberさんとコラボしていたため、おそらくその兼ね合いで非公開にしづらいのかもしれない。 　――メデアさんがボイチェン事故のことを気にしているのに、アーカイブは非公開にしづらい状況……となると、メデアさんの地声を聞きたくない人がうっかりそのアーカイブを観ないように注意喚起をしないと！―― 　数日後の配信中、メデアさんがボイチェン事故について語っている場面があったので、そのシーンを切り抜いて「地声バレした件について」というタイトルで投稿した。その動画内で「このアーカイブ内でメデさんがボイチェン事故を起こしたので、絶対に見ないでください！」と注意喚起をした。 　そして何故かその切り抜きは数千回も再生され、ボイチェン事故が起こったアーカイブの再生数はどんどん増えていった。ついでにメデアさんのチャンネル登録者もちょっとずつ増えていった。 　数日後、メデアさんが配信中に訝しげにこう言った。 「あの……最近さ……私、配信をサボってたにも拘らず、やけに登録者が増えてるんだけど、誰か何かした？」 　僕は慌ててコメントを打ち込んだ。 『きっとメデさんが頑張ってるから登録者が増えたんですよ！』 「いや、配信してないって言ったじゃん。え、なに、またなんか変な切り抜きでも作ったの？」 『最近は全く切り抜きを作ってないです！』 「へぇー……そんでもってさ、何故か2か月くらい前のとあるアーカイブだけやけにたくさん再生されてるんだけどさ、このアーカイブって……もしかしてボイチェン貫通したやつ？　え、誰か私のボイチェン外れたことを広めてる？」 『メデさんの地声を聞きたくない人のために、そのアーカイブを観ないように注意喚起をしてました！』 「え、なに、注意喚起？　どうせまた変なことしたんでしょ？　もう、リングフィット切り抜きの件といい、本当にヤバいことしかしないんだから。もう、何したのか詳しくは訊かないけどさ……アハハ……」 　それ以上メデさんに何も訊かれなかったので、何とか事なきを得た。 　しかしその数日後に大事件が起こってしまった。誰かがメデさんの地声バレのシーンを切り抜き、更に匿名掲示板で「バ美肉vtuberの地声がバレる」というスレを立てて、そこに添付してしまったのだ。 「い、一体誰がこんなことを……これじゃあ、僕がやったと勘違いされてしまう！」 　ﾄﾞｶｰﾝ！ 　家の扉が突如爆発し、煙の中から女装した可愛い系美少年が出てきた。 「あれは切り抜いちゃダメって言ったでしょ！　何てことしてくれてるの！」 「ち、違うんです、これをやったのは僕じゃないんです！」 「うるさいねえ、とぼけても無駄よ。お尻ぺんぺんやぞ、この野郎。お尻ぺんぺんの刑じゃ！」（2024/10/18【7Days to die】炎上落ちとかサイテ～。リベンジするしかないよなぁ！【メデア・メディック】を3:41:11から再生） 「う゛っ……ぼ、僕は、やってなあ゛っ……いですよお゛ぉっ……」 　こうして僕は美少年メデアにお尻ぺんぺんされてしまったのだった。 　――完―― ※この物語はフィクションです

配信終了後30分で投稿まで済ませました！