Рет қаралды 604,829
富士山の8合目にある救護所には、登山者からの様々なSOSが入ります。
下山中に身動きが取れなくなった登山者。荷物運搬用の車両で救護に向かう一部始終に密着しました。
救護所に駆け込む人の多くが「弾丸登山者」。しかし、山小屋で宿泊したにもかかわらず、「高山病」とみられる体調不良者が次々と…その意外な理由とは?
■軽装・弾丸で…「救急搬送は毎日」
富士山の4つのルートの内、最も多くの登山者が利用する吉田ルートの登山口に現れたのは、救急車です。
救急搬送されたのは、外国人の女性。一体、何があったのか。搬送を手助けした山小屋の関係者に話を聞きました。
富士山5合目 佐藤小屋 佐藤保さん:「つまずいて転んで骨折。まあ、軽装備で登る人がいるので…」
下山中に骨折して身動きが取れずにいたため、山小屋に荷物を運ぶ車両で、5合目まで運んできたといいます。
佐藤さん:「(救急搬送は)ほとんど毎日かな。皆、簡単に登れると思っている」
晴天に恵まれたこの日、6合目は26℃。軽装で登る人が多いなか、途中で辛くなってしまう人もいます。
中国からきた登山者:「風が冷たいよ。すごく疲れたけど頑張るよ」
晴れていたかと思うと、突然嵐になるなど、変わりやすい富士山の天気。夜、登山道の状況は豹変します。
この日も山小屋に宿泊をせず、山頂でのご来光を目指す“弾丸登山者”の姿がありました。
気圧が低く、酸素濃度が低い場所へ一気に登ると「高山病」などの発症リスクが高まり、吐き気やだるさを引き起こすこともあります。
取材班が向かったのは、最も山頂に近い場所にある八合目の救護所。山小屋に併設されたこの場所で、医師や看護師が24時間体制で救護にあたっています。
イギリスから来た弾丸登山者:「寒くて、とても頭が痛い」
深夜、次々と体調を崩した登山者の姿がありました。しかし、駆け込んでくるのは、弾丸登山者だけではありません。
■宿泊しても体調不良…危険な落とし穴
母親:「子どもが震えちゃって。眠さもあるんですけど、どうしたら良いのか」
駆け込んできたのは、9歳の男の子。山頂でのご来光を目当てに登っている途中、突然震え出したといいます。
看護師:「吐き気は無い?」
子ども:「ない」
看護師:「熱が37℃ちょうどで(血中酸素濃度が)88~89%」
看護師:「高度順応しないまま登って、多少高山病がかっている状態」
父親:「(子どもは)やる気にはなっていましたが、もう下山しようと思っています」
父親:「(Q.どちらかに泊まっていた?)7合目」
夕方から山小屋で宿泊したにもかかわらず、体が標高に順応しきれず、予期せぬ体調不良になりました。
続いて駆け込んできた男性も、7合目の山小屋で宿泊してきた登山者でした。
看護師:「どうされましたか」
男性:「途中で頭が痛くなって。ちょっと吐き気がして。きついですね」
この男性もまた、高山病とみられる症状に。その背景には、意外な落とし穴がありました。
看護師:「7合目には、何時ごろ到着しましたか?」
男性:「17時」
看護師:「そこで一泊して。(7合目を)何時ごろ出発されましたか?」
男性:「出発が21時半」
看護師:「睡眠時間が短いなっていう感じなので。そうすると結構、高山病のリスクが上がってしまうので…」
山頂でのご来光に間に合うようにと、男性は7合目の山小屋を午後9時半に出発。そのため、睡眠時間が3時間ほどに。実は、先ほど駆け込んできた親子も、山小屋で十分な睡眠が取れなかったといいます。
山小屋に宿泊しても睡眠時間が短いと、体が標高に順応できず、高山病のリスクが高くなってしまうのです。
■緊迫の救護所 下山中に「動けない…」
吉田ルートで最も標高が高い場所にある“最後の砦”、「富士山8合目救護所」。ボランティアの医師や看護師が3日間の交替制で、対応に当たっていますが、今年は登山者が急増していることから、開設期間が例年よりも2週間延長されました。
山梨県立中央病院 山川汐里看護師:「私も山が好きなので。具合が悪かったり怪我したりすると悲しい思い出になるので」
山梨県立中央病院 立川武郎看護師:「嫌な思い出で、帰ってもらいたくないなと」
軽い腹痛から、心肺停止の緊急事態にも対応が可能なこの救護所。チームを率いるのは、ベテラン救命救急医の山梨県立中央病院 岩瀬史明医師です。
岩瀬医師:「ちょっと行ってきます。山頂に行くだけだから、1時間ちょっとで帰ってこられます」
現場に駆け付ける緊急事態も多いだけに、診療の合間には、こうしたトレーニングも…。
「嫌な思い出を残してほしくない…」。夕方、その懸念は現実のものになってしまいました。
登山者からのSOSを受けての緊急要請。医師たちに緊張が走ります。
岩瀬医師:「『動けなくなっちゃった。寒気がひどくて熱っぽくて』と言っていましたけど」
救急搬送が必要になる可能性が高いため、山小屋のスタッフが操縦する荷物運搬用の車両に医師と看護師が乗り込み、救護に向かいます。
岩瀬医師:「あまりにひどかったら、救急車で病院まで行ってもらうということで」
現場は、8合目と7合目の間の下山道。アルミのシートにくるまれて横たわる、男性の姿がありました。
岩瀬医師:「全然動けない?」
一緒に来た友人:「動こうとしたら、頭痛と吐き気がするって」
倒れていたのは、20代の男性。顔は青ざめ、手はかすかに震えています。
岩瀬医師:「(血中酸素濃度)88%で(脈拍)114。どこか痛いところはない?」
登山者:「痛いところはないです」
岩瀬医師:「だんだん動けなくなった?」
登山者:「そうですね。下りていくたびに動けなくなって」
一緒に来た友人:「登っている時は全然平気だったんですけど。夕方からかなり冷え込んできて」
この日の朝5時に5合目から日帰りで山頂に向かいましたが、下山中、寒さで動けなくなったといいます。
岩瀬医師:「頭も痛い?」
登山者:「頭も、はい」
岩瀬医師:「持病はないんだよね」
登山者:「はい」
岩瀬医師:「低体温と疲労と高山病かな」
自力で歩くことができない男性。車両に乗せて、5合目まで運ぶことになりました。
岩瀬医師:「状態としては、救急車の搬送は必要なさそうです」
体力を過信し、無理なスケジュールで臨んだ末に招いた不測の事態。
■「疲れた…」無謀登山の結果 救護所に
深夜になり、登山者の数が増えるなか、救護所に次々と駆け込んでくるのは、初めて富士山を訪れた外国人です。
午前1時、やってきたのは中国出身の女性2人。
中国出身の登山者:「寒くてたまらないです」「(Q.今朝から登った?)はい、今朝から。疲れました」
“日帰り”で山頂へ向かいましたが、疲労で歩けなくなり、救護所の仲介で急遽、山小屋に宿泊させてもらうことになったといいます。
続いてやってきたのは、微熱と腹痛を訴えるコロンビアから来た女性。看護師が下山を促しますが、この後、まさかの行動に出ます。
立川看護師:「何か登りそうな勢いですけど…」
症状が悪化しても、自己責任であると看護師が伝えますが…。
コロンビアから来た登山者:「イエス」
このあと女性は、仲間と山頂へ…。登山者の増加とともに増える、無謀な行為に、医師は次のように話します。
岩瀬医師:「寒い中にいると、命の危険はあるかと思います。どのくらい時間がかかるのか、気温がどのくらい違うのか。もう少し計画を立てて登ってきてほしい」
[テレ朝news] news.tv-asahi....