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美濃の国野上の宿の遊女花子は、東国へ下る途中の吉田の少将と契りを交わして以来、後日を約して去った少将を想い、形見に交換して扇ばかり眺め入って勤めに出ません。宿の長は怒って花子を追い出してしまいます。東国からの帰り、少将は再び宿を訪れますが、花子がいないのでやむなく帰り、賀茂の社へ参詣します。するとそこへ花子が現れます。彼女は少将への恋慕がつのって物狂となり、今は班女と呼ばれています。神に祈願を捧げる班女に、少将の供の者が狂いの芸を見せよと言います。班女は悲しみながらも形見の扇を手に、玄宗と楊貴妃の故事を語り、捨てられた班女と同じ身の寂しさを思い、少将のつれなさを恨んで狂おしく舞います。やがて少将はその扇に気がつき、自分の扇と比べて班女が自分の探していた花子であると知って再び逢えたことを喜びあいます。 (宝生の能、平成10年2月号より)