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北海道・知床沖で観光船が沈没した事故。5月26日、沈没した「KAZU I(カズワン)」を作業船に引き揚げる作業が始まりました。船首の手すりは取れていて、無線のアンテナと思われるものは曲がっていました。数日かけて水を抜いた後に陸揚げされる見通しで、乗客の家族は「船を見たい」と要望しています。
■沈没から“33日ぶり”船体が海面に 手すり取れアンテナは曲がった状態か
北海道・知床沖に沈没した観光船KAZU I。5月26日午後6時50分ごろ、事故後、初めて海面上に姿を見せました。
カメラマン
「油でしょうか、漏れているのがわかります」
“知床遊覧船”という文字も確認できます。
作業員は作業船から緩衝材を入れてKAZU Iを横付けしていきます。上空からは大きな傷は確認できません。ただ、前方には手すりがなかったり、無線のアンテナと思われる棒は曲がった状態でした。
カメラマン
「KAZU Iに、はしごがかけられます。作業員がKAZU Iに乗り込みました」
えい航するため、KAZU Iにロープがかけられます。
日が沈んでも作業は続き、船にはビニールシートがかけられました。
つり上げられた船の状態について専門家は。
水難学会 安倍淳副会長
「(水深)182メートルに落下したときの船首部の手すりがとれているというところに注目して見ていましたが、そこの手すりがないことはよくわかりました。アンテナは形が崩れていましたけど、あるという確認はできました」
■船底には“3か所の穴”も… 乗客の家族「船を見たい」と要望
北海道知床沖の海底に沈んだKAZU I。24日には、えい航中に船を支えていたベルトが切れて、水深182メートルの海底に落下しました。
26日朝から再び始まった、船をつり上げる作業。
カメラマン
「午前9時です。観光船KAZU Iを引き揚げるための金具が海中におろされていきます」
船体にかけたベルトと引き揚げるためのフレームを結ぶ作業を行い、午後3時ごろにつり上げを開始。船は午後7時前につり上げられ、約4時間かけて水深の浅いウトロ漁港沖へ移動を始めました。
前回は水中につった状態で移動して落下したKAZU I。
今回は船の一部が海面の上に出る状態までつり上げてから移動させています。これは“横抱き”と呼ばれるもので作業船の左側に固定してから、えい航する方法です。
水難学会 安倍淳副会長
「船体自体が強力な証拠物件ということになりますので、(前回は)慎重に運ぶ手立てとして、水中のえい航という方法がとられた。ただ、落下してしまったので、今度は回収を優先に考えるという作業手順だったのかなと思う」
午後10時ごろ、撮影した作業船とKAZU Iの映像。作業船の上まで、KAZU Iを引き揚げる作業が行われています。
乗客の家族は「引き揚げられた船を見たい」と要望しているということです。
KAZU Iの左側の船底には3か所の穴が見つかっているといいます。
14人が死亡、いまだ12人が行方不明となっている沈没事故はなぜ起きたのか。海上保安庁などは落下前の映像と比べるなどして陸揚げしたKAZU Iの状態を確認し、事故原因の究明にあたります。
水難学会 安倍淳副会長
「特に沈没にいたった原因となるような、ひび割れや、ガラスの割れであったり、エンジンが止まったのか止まらなかったのか、起きた順序を明らかにしていくと思います」
KAZU Iは27日早朝にも作業船に引き揚げられる見通しで、その後、網走港に移動し数日かけて水を抜いた後に陸揚げされます。
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