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21日のギモンは「ダイハツの不正 なぜ?」です。軽自動車の新車の国内販売数トップを誇るダイハツ工業が、安全性を確認する認証試験で不正を行っていた問題をお伝えします。
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21日、国土交通省はダイハツ本社に立ち入り検査に入りました。不正の詳細な経緯や事実関係について試験データや従業員への聞き取りを行い、確認を進めるとともに他に不正がないかも調べます。こうした調査は、かなりの時間を要するとみられ、年明けまで調査は続く見通しです。
【21日のポイント】
◇30年以上の不正 背景は?
◇乗り続けて大丈夫?
■一番古い不正行為は1989年 社長「自動車メーカーとして根幹を揺るがす事態」と謝罪
不正の背景には何があったのでしょうか。20日にダイハツの社長が会見を開いてこのように述べています。
ダイハツ工業 奥平総一郎社長
「誠に申し訳ございませんでした。認証を軽視していると指摘されても仕方がない不正が行われております。その行為を生み出す環境を作った責任は経営陣にあります」
「不正を生み出す環境を作った責任は経営陣にある」と言っています。どういうことなのでしょうか。
そもそも、ダイハツでは今年の4月と5月に不正が発覚し、第三者委員会による調査が進められていました。その結果が20日に公表され、新たに174件もの不正行為が認められました。
不正が確認された車種は64車種にもおよびます。一番古いものでは1989年の不正行為も確認され、30年以上にわたり不正が行われていたことが明らかになりました。
乗っている人の安全を確認し、国の認証を受ける試験で不正を行ったことについて、ダイハツの社長は「自動車メーカーとして根幹を揺るがす事態であると大変重く受け止めている」としています。
その上で、国の内外で手がける全ての車種の出荷を停止すると発表しました。
具体的にはどのような不正があったのか。不正の1つは、エアバッグの作動試験で行われたといいます。
本来、エアバッグは衝突時の衝撃をセンサーで検知し、自動で作動させる必要があるにもかかわらず、ダイハツはタイマーで作動するように設定し、試験を行うなどしていたということです。
他にもヘッドレストの衝撃試験では、助手席の結果を運転席の試験結果とするウソの記載や、試験中のタイヤの空気圧についてウソの記載をするなどといった不正があったということです。
■なぜ短期開発を?不正背景に「ミライース」の成功体験
第三者委員会の報告によると、こうした不正の背景には「過度にタイトで硬直的な開発スケジュールによる極度のプレッシャーがあった」ということです。「担当者はやむにやまれぬ状況に追い込まれて不正行為におよんだ」と指摘しています。
さらに、ダイハツの経営幹部が不正が起きることを想定せず、「未然防止や早期発見のための対策を何ら講ずることなく短期開発を推進した」とも指摘しています。
なぜダイハツは短期開発に走ってしまったのか。一連の不正行為は2014年以降、急増しています。調査報告書では、その背景に2011年に発売した軽乗用車「ミライース」の開発期間を従来より大幅に短縮できた成功体験があるとしています
これ以降のプロジェクトでは、さらなる短期開発が求められることになっていったといいます。
そして、ダイハツ社内からは聞き取り調査に対して、「トヨタの期待に応えるために身の丈に合わない開発をリスクを考えず推し進めたことが大きな要因だと思う」という声も寄せられています。親会社であるトヨタの期待に応えることを非常に重要視していたということです。
20日の会見には、トヨタ自動車の中嶋副社長も出席していました。
「2014年以降、小型車を中心に海外展開車種を含むダイハツへの製造委託が増えたことが、開発・認証現場の負担を大きくした可能性があることを認識していなかった」として、「トヨタとして深く反省している」と述べました。
■乗り続けて大丈夫?
続いて、気になるのが「乗り続けて大丈夫?」という点です。
ダイハツの社長は、1つの車種のドアロックの安全性能については確認中だとしつつも「社内の検証ではあるが、乗り続けて問題があるという事象はない」としています。つまり、直ちに乗ると危ないというわけではないとしています。
自動車評論家の国沢光宏さんは、ユーザーはおそらく、国交省がお墨付きを出さないと信用できないだろうとし、最悪の場合は生産や販売に必要な認証が取り消しになる可能性もある、と話しています。認証取り消しとなれば、その車種の生産も販売もできなくなり、認証を取り直すまでには半年くらいかかるそうです。その間、不安は続くということになります。
そして、今後のダイハツの体制について、国沢さんによるとトヨタ側は「抜本的に見直す」と話しているそうです。
調査報告書によると、ダイハツでは衝突安全試験の領域はチェック体制が構築されておらず、不正がばれにくい環境にあったということです。
国沢さんは、トヨタがこうしたことを見逃してダイハツに任せきりにしていた責任は大きく、ここを変えていかざるをえないだろうとしています。
◇
安全よりコストや効率を優先させる「スピードありきの開発」が引き起こした今回の問題。そのひずみに気付かずに長年放置してきた経営陣の危機意識の低さが大きく問われています。
(2023年12月21日放送「news every.」より)
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