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『てやんでぃ、、、』
その言葉に普段の力強さは無く、虚しげにその空間に響き渡っていた。
もしも救えていたなら
世界で一番どうすることも出来ないもしもを頭の中で描きながら、彼は俯いたままただ立ち尽くすことしか出来なかった。
それでも虚しくも哀れに頭は無駄なことを考え続ける。
もしも自分がヒーローだったら、彼女を助けてあげることが出来たのだろうか
もしも自分がヒーローだったら、いくら遅れても取り返しがつく範囲で間に合ったのだろうか
もしも自分がヒーローだったら、そもそも彼女を傷つける全てをハナからやっつけることが出来たのだろうか
内気で人の顔色ばかり気にして
そのくせしょうもないことでもすぐに笑って楽しそうにする女の子だった。
全てを纏めて愛していたから
その笑顔を守りたいと誰よりも強く願っていた。
「てやんでぃ」なんて江戸っ子の真似をして、ふざけてみたらよく笑うもんだから
笑わせたいのか
もう口癖なのかもわからなくなってしまうほどに多用していたその言葉は
結局、口癖になんてなるわけもなく
大切なヒロインを失った世界では
意味のない
なんの面白味もない言葉に成り下がっていた。
君がいない世界に意味なんてなくて
そんな世界の共通言語も何もわからなくなって
自分が吐き出す言葉のどこが正しくて
何が間違っているのかさえわからない。
君と言う世界を失ったいま
僕は喋る言葉も持ち合わせていないのだ。
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