禁断の実験がモチーフの問題作！『海と毒薬』のあらすじを簡単に解説【遠藤周作】

この動画では、『海と毒薬』のあらすじを簡単に紹介します。
動画を見て、この本に興味をお持ちいただけたら、ぜひ読んでみてください。
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・イラスト：mari©️o 様
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・声：VOICEPEAK 様
・編集ソフト：Filmora 様
・デザインソフト：Canva 様
▼台本
この動画では、遠藤周作が書いた『海と毒薬』のあらすじを簡単に紹介します。
#01
新宿から電車で1時間の「西松原住宅地」に引っ越してきた「私」。
以前から肺を患っていた私は、治療のために近所の病院を訪ねます。
そこで出会ったのが、40歳くらいに見える「勝呂」という医者です。
彼は言葉に訛りがあって、あまり愛想はありません。
しかし、施術の腕は良かったので、それから私は何度か勝呂のもとに通いました。
さて、引っ越しから1ヶ月ほど経った、9月下旬のこと。
私は妊娠中の妻の代理で、九州のF市で開かれる妻の妹の結婚式に出席します。
披露宴では、新郎の従兄弟が隣に座っていました。
話をしてみると、彼は医者で、同じ大学出身の勝呂を知っているとのこと。
そこで私は、「F医大の生体解剖事件」について教えてもらいます。
翌日、私はF市の新聞社に行き、事件の記事を読みました。
これは戦時中にF医大の医局員たちが、アメリカ兵の捕虜に生体解剖実験をしたという事件。
あの勝呂も事件に関わっていました。
その後、実験が行われた病棟まで向かった私。
誰もいない手術室を覗いてから屋上に上がると、街の向こうに海が見えました。
#02
戦時中、勝呂は親友の戸田と一緒に、F医大の橋本教授のもとで研究生をしていました。
このとき病院内では、次の医学部長の座を巡り、教授の橋本と権藤の間で争いが勃発中。
当初は橋本が有力視されていたものの、軍部とつながりを持つ権藤が、次第に優勢になっていました。
そこで橋本は、自分の評価を高めるために、ある作戦を実行します。
その作戦とは、以前から入院している「前医学部長の親類」の手術を予定よりも早めること。
この手術が成功すれば、不利な情勢を巻き返せるかもしれません。
さっそく準備が進められ、手術が行われます。
しかし、成功が確実視されていた手術は、まさかの失敗。
その場で患者は亡くなってしまいます。
手術の失敗によって、橋本の出世は絶望的になりました。
#03
ある日、勝呂と戸田は上司の助教授に呼び出されます。
そこで二人は、アメリカ兵の捕虜の「生体解剖実験」に参加するよう誘われました。
この実験は、橋本が医学部長になる最後の望みとして、軍部の協力のもとに行われるようです。
当然、生体解剖実験など人道的に許される行為ではありません。
しかし、勝呂は断りきれず、戸田とともに実験への参加を承諾してしまいます。
その夜、勝呂は夢の中で、黒い海に押し流される自分の姿を見ました。
実験の前日の夜。
勝呂が家に帰ろうとすると、戸田に呼び止められました。
そこで二人は、「神の存在」について話します。
人間は自分を押し流す「運命」から逃れられない。
そういうものから自由にしてくれる「神」と呼べる存在はあるのか。
戸田から聞かれた勝呂は、「自分にはもう、神があってもなくてもどうでもいい」と答えました。
#04
そして迎えた実験の日。
心の中では、まだ迷いがありながらも、勝呂は手術室までやってきます。
そして、実験の準備が整ったところで、捕虜のアメリカ兵が連れられてきました。
すぐに診察が行われ、いよいよ麻酔を打つというとき。
ここにきて勝呂は腰が引けて、壁にもたれかかってしまいます。
しかし、ほかの医局員は彼に構わず、着々と実験を進めます。
麻酔が効き始めたところで、やっと手術室に入ってきた橋本教授。
彼の手によって淡々と解剖実験は行われ、ついに捕虜は命を落としました。
実験が終わり、良心の呵責に苛まれながら手術室の外に出た勝呂。
彼は心の中で「もう研究室をやめよう」と呟きました。
その後、屋上で勝呂がタバコを吸っていると、戸田がやってきます。
二人は真っ黒な空を眺めながら、これから自分たちが受ける「罰」について話しました。
戸田が出ていき、ひとり屋上に残された勝呂。
彼は闇の中に白く光る海を見つめながら、そこから何かを探そうとしました。