介護について学ぼう！介護過程について、介護の専門性、親切と介護のちがい、介護の本質

第8期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等にもとづき、都道府県が推計した介護職員の必要数をみると2040年（令和22）年度に必要な介護職員数は約280万人となっています。
厚生労働省は、①介護職員の処遇改善、②多様な人材の確保・育成、③離職防止・定着促進・生産性向上、④介護職の魅力向上、⑤外国人在の受入環境整備など、総合的な介護人材確保対策に取り組むとしています。
中核的な役割を果たす介護福祉士
今後さらに介護サービスの利用者が増えるなかで、限られた人材で利用者のニーズに対応していくためには、一人ひとりの介護職がもつ知識と技術を効果的かつ効率的に活用する必要があります。
② 介護技術の指導者としての役割
多職種によるチームケアの中で、介護職がグループとして利用者に対する質の高い介護を提供するため、グループ内の介護職に対し、個々の介護職員の意欲・能力に応じて、利用者のQOL（生活の質）の向上に資するエビデンスに基づいた介護サービスの提供に向けた能力開発とその発揮を促す環境づくりの役割を果たすべきである。※根拠
〔介護の専門性は利用者主体の生活支援にある〕
それが介護ニーズの高度化・複雑化にともなって、医療的ケアのほか、介護予防、看取り、災害時の支援など、介護福祉士に求められる役割や活動の場が拡大していきます。
※ターミナルケア
治療や改善ではない、介護職による介護サービス
障害のある生活や要介護の状態とは、利用者その人にとって特別な日々に属するものではない。「日常」だという理解が大切です。障害や要介護の状態は、利用者その人にとって「特別の状態」ではないという理解が介護職には求められているのです。
介護職による利用者の尊厳の保持
介護保険法の第1条においては、保険給付の目的として介護を必要とする者の尊厳の保持がうたわれています。このことは介護保険制度が保証する介護サービスの目的が、日本国憲法第25条の理念にもとづく国民の生存権を保証するだけではなく、国民の幸福追求権を保証する第13条の理念にもとづくものであることを示しているといえます。
身体的あるいは知的機能に障害のある人の生活を支える介護サービスとは、本来、だれが行ってもよい仕事でも、だれにもできる仕事でもないのです。
１，介護の概念の見直し
① 三大介護から、心身の状況に応じた介護へ
2007年（平成19）年12月に社会福祉士及び介護福祉士法の規定が改正されました。
介護福祉の仕事が、いわゆる三大介護（食事、入浴、排泄の介護）と表現されるものから、心身の状況に応じた介護の提供へと変わりました。
② 介護の本質
老いやおとろえ、障害があることによって生じる、利用者がかかえる生活上の困難や不便を少しでも解消し、利用者本人が望むその人らしい生活の再構築を側面的に支えること、それも介護職が一方的に行うのではなく、その人みずからの意思にもとづいて、質の高い生活を送ることができるように支援することが、介護の本質であると理解されています。
２， 科学的根拠にもとづいた介護の実践
① 意図的・具体的な介護を展開するためのプロセス
一人ひとりの介護職は、介護支援専門員（ケアマネジャー）が利用者の生活ニーズにそって作成したケアプラン（居宅サービス計画、施設サービス計画）をふまえて、介護職能の視点にもとづいたアセスメントを行い、介護計画を立案し、具体的な介護を実施していきます。
また、介護過程にそった介護実践は、利用者の心身の状況や利用者を取り巻く環境面にも目を向け、一人ひとりの介護職が個人的にもちあわせている知識や経験、コツなどを活用し、具体的な根拠をもって援助していくことが、大いに求められます。