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特集の舞台は、JR芸備線のとある駅と、駅前にある個人商店です。
長年続く商店から見た、ローカル線の小さな駅と、そこを取り巻く人達の「日常」です。
庄原市西城町のJR芸備線・比婆山駅。
標高は350メートル余りあり、冷え込みはこたえます。
午前6時58分、広島・三次方面下りの始発列車が到着しました。
この日乗り込んだのは、8人の中学生と高校生。比婆山駅の1日の始まりです。
駅の向かいにあるのが、「田盛商店」。始発の列車が出発した午前7時に開店です。
程なく客が。平日は、弁当を買い求める客が、数人いると言います。
「は~いすみません。」
「はい行ってらっしゃい~」
店を1人で切り盛りする、田盛なぎささんは60歳。祖母の代から3代目です。
■田盛商店 田盛なぎさ店長
「学生さんなんか、おなかがすいたってパン1つ買いに来てくださったり、
おばあちゃんたちが缶コーヒー買って、列車に乗るというような感じで。」
開業したのは1935年・昭和10年でした。
扱うのは、食料品から日用品まで様々。
「令和」の今、この地区にある商店は、ここだけです。
店と比婆山駅には、繋がりがあります。
■田盛なぎささん
「比婆山駅が無人化したときに、スタンプを預かりまして。」
駅に降り立った証となるスタンプです。
今でも、比婆山駅を利用すれば、押すことが出来ます。
店で切符を扱った時期もあります。
■田盛なぎささん
「駅に看板があって、『田盛商店に買いに行ってください』みたいなこと書いてありましたね。
広島~落合までの切符を扱って日付を打って売っていた。」
向かいの比婆山駅の開業は、田盛商店と同じ1935年。
かつては、近くにある「熊野神社」を訪れる人で賑わったと言います。
赤い三角屋根の駅舎は、開業当時のものです。
1971年に駅員のいない無人駅になり、昨年度の乗客の平均は、1日あたり8人。
停車するのは、臨時列車を除くと、下線あわせて9本です。
利用が低迷する芸備線。1日1キロ当たりの平均の乗客が最も少ないのが、
東城から備後落合までの11人です。
100円の収入を得るために、2万5000円以上が必要です。
国の検討会は、「廃線を前提にせず」としながらも、
バスへの転換などを検討するよう求めています。
そして3年以内に、自治体と事業者が合意の上で対策を決めるべきとしました。
田盛商店の歩みは、芸備線の歴史に重なります。
■田盛商店 田盛なぎさ店長
「なくなるということが考えられないといいましょうか、
なのに、私自身が列車に乗ってどこかにいくということがないということが、
一番問題というか、生活の一部として使えればいいんですけれどね。」
ローカル線が、一旦廃線となればどうなるのでしょうか…。
一旦廃線となればどうなるのか。
2018年3月に、全線が廃止された三江線の香淀駅です。
列車が走らなくなって4年半。錆び付いた鉄路の周りには、雑草が生い茂っていました。
そして駅舎は、バスの待合所に。
地元のバス会社が3路線を運行していますが、赤字を三次市などが補填しています。
廃線が、生活を直撃した住民もいます。
沿線に暮らすこの女性は、通院や買い物などで三江線が頼りでした。
■86歳女性
「バスか、車(タクシー)頼んで、行き帰り乗ったりして、費用がかかりますし。
三江線が動いたらいいねっていつも言っています。」
■80歳男性
Q廃線後地域は?
「さびれるよね。自動車に乗る人はそんなに(生活は)変わらんけど、
乗らん人は(町から)出ることはないわね。」
この日、比婆山駅周辺の住民3人が、清掃のために集まっていました。
住民が、月に1度交代で続けてきました。
■女性ベンチ拭きながら
「座ったときにね、服が汚れちゃいけんけえね。」
■女性草とりながら
「きれいになったらみんな気持ちがいいからね。
もうちょっと人が(駅を)使うてくれてならええけど、
なかなかね、使ってないから。」
午後6時過ぎ、店を訪ねた1人の男性。
千葉から遠路をいとわず訪れたその目的は、スタンプです。
2泊3日の予定で、中国地方の鉄道を回ると言います。
■千葉県から訪れた男性
「昔のかなり古いスタンプで、ここにおいてあるっていう、情報を聞いて。
山の風景とかいいなと思って。
それが魅力的だなと思って、旅しています。」
■田盛さんと会話
「ぼちぼち紅葉もしてました?」
「そうですね。結構思ったよりカラフルで。」
「寒暖差が激しいので。」
「結構寒いですよね。」
「朝晩寒いので暖かくしてください。」
■退店
「ありがとうございました。」
「は~い気をつけて。」
午後6時32分、高校生たちを乗せた上りの列車が到着しました。
備後落合行きの最終列車です。
比婆山駅で降りた1人の高校生が、店を訪れていました。3年生の松本くんです。
通学だけでなく、休日も芸備線を利用しています。
卒業を控え、芸備線に乗るのもあと僅かです。
■芸緯線を利用する 松本明日翔くん(17)
「いままで使ってきた思い出があるので、なくなると悲しいなという思いもあります。
これから冬が来て、雪が降っていろいろと景色が変わってくるので
それを見て、高校卒業したら都会に出る予定なので、この景色を覚えておきたいです。」
午後7時32分。下りの最終列車を見送ると、田盛商店の1日も終わりです。
■田盛商店 田盛なぎさ店長
「普段の生活の一部なので、あっ何時になったなって、時間がわかったり。
きょうあのおばあちゃんたちは病院かなとか、乗られるときに思ったりとか。
列車のおかげで、私もお店をなんとか続けてられるかなというような感じがします。」
芸備線・比婆山駅の開業と田盛商店の開店から87年。
駅舎に降り立ち駅前商店を訪れた人たちが見た日常は、鉄路の響きと共にありました。
人影がまばらな比婆山駅に、間もなく厳しい冬が訪れます。
《2022年11月2日(火)広島テレビ『テレビ派』で放送》
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