「毎日、毎日、暮らすのは大変だ。どこも一緒だよ」住民わずか一人の限界集落を生き抜いてきた男性が語る本音とは 宮城・七ヶ宿町

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福島県との境にある宮城県七ヶ宿町稲子。住民わずか一人の限界集落です。この集落に住む一人の男性。壮大な自然の中での暮らし、そして稲子に訪れた秋。限界集落での暮らしをカメラが追いました。
集落最後の住民の生活
佐藤富世司さん(78)です。稲子で生まれ育った佐藤さん。現在では集落唯一の住民です。佐藤富世司さん:
「寂しくない。やることがあるから寂しくはない。忙しくて一日が終ってしまう。何もすることがない所にいたほうが寂しい」1955年には126人が暮らしていた稲子。その後、仕事を求め若い世代が山を下り、自立生活ができなくなったお年寄りも次々と離れました。2017年頃には佐藤さんが、集落最後の住民となりました。畑仕事この日は、作物を守るため電気柵を設置していました。佐藤富世司さん:
「(植えるのは)トマトとかいろいろだ」
活気があったころの祭りを思い出して
佐藤さんは、自然豊かな森に囲まれて小さな畑を耕しながら、静かに暮らしています。24年前の佐藤さんが、当時取材した映像がtbcのライブラリーに残っていました。当時は、福島で働いていて休日に帰省していました。佐藤富世司さん:
「やっぱりのんびりしていられるよね。こっちに来れば」退職後、ついの住みかとして選んだのはふるさと・稲子。かつては100人以上が暮らし活気がありました。集落の山頂にある神社では、毎年7月15日に祭りが行われて、住民らは地区の安全などを願い餅などを奉納していました。祭りが行われていた7月15日。佐藤富世司さん:
「昔からやっていたことはやってないと罰があたる。そうしないと身体を悪くしたりする。そういう時に餅をついたりしないと神様を守ってないことになる」稲子は雪深い集落。佐藤さんは冬支度を始めました。
限界集落で生き抜いてきた本音とは
こうして限界集落で暮らしていく上で、大切にしていることを教えてくれました。佐藤富世司さん:
「この歳になってくれば体を動かさなければだめになる。(Q.稲子にいるから生きていけるんですね。)何かの仕事をやっているからこそ考えることを考えながら仕事している。考えながら仕事をしてるからいい」今まで私たちの問いかけに「一人は寂しくない」と語っていた佐藤さん。最後に本音を漏らしました。佐藤富世司さん:
「(Q.誰もいなくなったことは寂しい?)うん。(Q.寂しかった?)うん。今でもそれくらいの人や誰でもいいからいると良かったがいないから困ってる。(Q.稲子はいい場所だと思った?)たまに来る人はいい。毎日、毎日、暮らすのは大変だ。どこも一緒だよ」場所がどこであろうとも生きることそのものが大変なこと。限界集落で生き抜いてきた背中からは、寂しさよりたくましさを感じました。稲子では、14年前から積雪の影響で緊急搬送が困難になることなどを理由に冬の間は通行止めにしています。佐藤さんは、その間は七ヶ宿町の町営住宅で暮らしています。
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