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「大丈夫か?」
それは彼の口癖だった。
と言うか、私が辛い事があっても言葉にしなかったから出来た彼の癖なのだけれど
しっかりと言葉を発しないと言う悪い口癖もあるのだ。
私の事を仕切に心配して気にかけて気遣っていた。
そんな彼に対して私は「大丈夫だよ」と無理矢理笑って返していた。
それでも優しい彼は懲りずに問いかけてくれていた。
彼の正しい優しい気遣いに、私は間違いの優しい気遣いで返して堂々巡り。
いや優しさのつもりでいただけの愚かな答えで返してしまっていたんだ。
それでも気にして心配してくれるとわかっていたから、結局彼に頼っていたんだ。
人は話しを聞いてくれる人を失って初めて言葉のやり場に困るのだ。
本棚がなくなって地面に置かれた本は誰に読まれる事もないのに目について
巣を失った鳥は当てもなく飛び続けてやがて力尽きて地に落ちる。
偽りの蝋で固めていなければ人の暖かさに近づく事が出来たのに
あなたを失った私の物語は誰に読まれる事もなく
あなたを失った私の羽は行き先もなく力尽きるまで動かし続けるしかないのだ。
もしこの物語を過去に送れるのなら
もしこれを見ていて思い当たる節があるのなら
話す事で離さない方法を考えて欲しい
思い出も優しさも目に見えないけど
思い出になる前の優しい人は目に見えるのだから
#ルームシェア
#板橋ハウス
#本当に大丈夫か?