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世界を西洋(G7)主導からどう破滅を回避しつつ転換させるか?
21世紀も4分の1を過ぎる、2025年。世界の大きな課題は、大航海時代を契機に始まり、19世紀半ばには中印やアフリカの植民地化で定着した西洋優位の世界秩序を、破滅を回避しつつどう、転換させるか、ということではないでしょうか?
正直、いわゆるG7諸国のデモクラシ―が、どこも〈グダグダ〉になってきています。2024年は、与党がどの国でも負けました。これ自体は、健全なデモクラシーが働いていたと言えます。
だが、各国の情勢を少し詳しく見ると、どこの国でも、一歩間違えると、むしろこれまでよりも悪くなりかねない、下手をすればデモクラシーが終わりかねない。そういう状況があります。
帝国主義の延長線上で移民政策をとってきた欧州ではそれに伴う課題が多く起きているのも事実です。一方で、ロシアがそうした状況に乗じて、極右を応援し、実際にバカ受けしています。多くの国が極右政権に代われば、1990年代に消えた東側陣営に続き、西側陣営そのものの意味が消える事態も予想されます。
なお、日本の兵庫県知事選挙でもSNSでかなりデマが流れ、リアルにも影響を与えました。デマ流布を主導した方の中に、極端な新自由主義者でもいらっしゃる日本人の中国系企業幹部がおられるようです。
断定はできませんが、中国政府が日本の極端な新自由主義者をたきつけ、混乱させる可能性もあるかもしれません。
また、アジアにおける西欧型デモクラシー国家だったイスラエルでは完全にネタニヤフ被疑者による独裁と化して、これまで以上の侵略や虐殺を加速させています。まるで、ヒトラーが再来したかのようだ。これをまた、日本以外のG7諸国が必死になって庇いました。長崎平和祈念式典にイスラエルを招待しなかった長崎市長に、日本以外のG7が抗議し、大使を出席させませんでした。19世紀の帝国主義列強による恫喝を彷彿とさせる行動でした。
ロシアのウクライナ侵攻は批判してもイスラエルには甘い態度を取ったことは、西洋諸国の〈国徳〉を低下させています。
正直、19世紀の植民地主義の時代も終わり、20世紀半ばまでに多くの植民地が独立。そして、20世紀末には新興国が台頭する中で、西洋優位が崩れるのは当然の流れです。
問題は、着地点、ということです。
人権侵害や環境破壊、そしてその最悪の形態である内戦を含む戦争を避けつつ、どう転換していくか?
これが大きな課題ではないか。
フランシス・フクヤマ教授ら、米国のポストモダニストは、1989年の冷戦崩壊を受け、〈歴史は終わった!デモクラシーの勝利だ!〉と舞い上がってしまった。だが、あれから、35年。ご覧の有様です。フクヤマ自身も昨年〈敗北宣言〉ととれる著書を出しています。
ひとつは、環境保護やLGBTはじめ多様性尊重などを一見推進しつつ、新自由主義を進めてきた、この30年のデモクラシー国家内の為政者の責任も重い。その反動がトランプさんとか、欧州の極右になっている。
日本の場合は、経済失策が大きい。90年代末にデフレに陥ると、総需要不足が問題なのに、構造改革を叫び、総需要を減らす施策を取った小泉純一郎さん、竹中平蔵さんによる改革が00年代に強行された。民主党政権も、時代に合わせて個人へのセーフティーネット充実を掲げたのは間違っていないけれども、東日本大震災での財源調達方法を誤った。公務員カット、増税。これがさらに過剰な円高とデフレで産業を痛めた。安倍晋三さんが政権に復帰した後、円安にしたが、産業が痛んだあとで、総需要喚起の財政政策も、思い切った産業への投資もなかった。それが現状に響いている。
そうした中で国民民主党とれいわ新選組の躍進と言う2024衆院選だ。だが、国民民主党の一部支持者は、積極財政なき減税至上主義でネット上で暴走し、リアルにも一定の影響を与えている。
高齢者切り捨て、さらには、教育無償化反対論まで多く、むしろ自民党以上に新自由主義になる危険もある。低所得の人まで社会保険料だけ取られて手取りは増えずおしまい、になりかねない。
ともかく、下手をすると、世界は、デモクラシーなき新自由主義者同士の群雄割拠の争いになりかねない。
米独英仏伊など旧白人帝国主義国の権威は落ちていく一方。そうしたものに頼らない形で、労働者の人権を守っていく、環境を守っていく。そういう取り組みがますます重要になっていくのは間違いありません。
さて、平和都市と言われる広島ですが、G7広島サミット以降、米欧政府にすり寄りすぎていないか?核兵器禁止条約を一緒に推進してくれた国々や平和首長会議の世界の都市、市民の方を向いてほしいと思う。