「後継ぎがいない…」名物ちゃんぽんお好み焼き名店の味を後世に【佐賀県】 (21/04/22

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Күн бұрын

今回の旬コレは「後世に残したい店」。この取り組みは後継者不足を理由に廃業してしまう飲食店が後を絶たない中、佐賀県が後継者探しを手伝うもので昨年度スタートしました。県が去年11月からネットで募集したところ、600を超える応募があり、45店舗が登録されました。今回登録された45店舗の大半は自分で応募したのではなく、他薦だったということです。
きっかけは全国的な課題でした。【佐賀県産業政策課・福島昂輝主事】「今、全国的にも経営者の高齢化や後継者が決まっていない。佐賀県内も状況は同じで佐賀県としては事業者に頑張っていただきたい、そういう事業者を残していきたいという思いでこの事業をすることにした」
東京商工リサーチ佐賀支店によりますと、去年1月から12月までの1年間で店を閉めたり休業したりした飲食店は14店。感染拡大前と比べると廃業はやや減っていますが、東京商工リサーチ佐賀支店は「まだ全て集計できていないため、今後増えていく可能性がある」としています。
今回、登録された店舗3つ共通点があります。1つ目は「後継者（候補）がいない」「いるけれども本当に引き継げるか分からない店」。2つ目は「経営者が50歳以上」。3つ目は「創業20年以上」。今回はその登録店舗のうち2店舗を取材しました。
佐賀市鍋島町にある1996年創業の「おこのみ亭」。ソースがとても甘くてチーズとの相性抜群です。中に入っているキャベツがとてもみずみずしくて素材の味をふんだんに楽しめるお好み焼きです。店主の渡部元さん72歳と妻の京子さん71歳。元さんはサラリーマン時代に一時広島に住んでいた時、広島風お好み焼きのとりこに。親の介護のため25年前に地元佐賀に戻った時に開業しました。妻の京子さんとその妹が広島に修行に行き、元さんは店づくりを担当。【おこのみ亭・渡部元さん】「こっち帰ってきたら広島風のお好み焼きがない。食べたいので探すんですが1軒もない。食べたいし佐賀の人にも食べてもらいたい。なければ自分たちでやっちゃえと」【妻・京子さん】「体に優しいから、体調の悪い人が見えてもするーっと入ったという感じで健康にいいというのがこだわり」
渡部さん夫婦には息子が2人いますが、それぞれ会社勤めで後継者はまだ決まっていません。【おこのみ亭・渡部元さん】「私たちやれるところまでやろうと思ってるんですが、あと何年できるか分からない」思い出の詰まった店。今回常連客からの推薦もあり、「後世に残したい店」に登録されました。【おこのみ亭・渡部元さん】「経験は全然いりません。お好み焼きを焼くのは飲食店での経験がなくてもやれる。私たちがそうだったので。ただ“気持ち”。この味を守っていこうという気持ちがある方だったらいい」
一方、こちらは小城市牛津町にある創業83年のながさき屋食堂。店を切り盛りするのは3代目の大坪利子さん65歳です。【ながさき屋食堂３代目・大坪利子さん】「宣伝はうちは何もしてなくて、それが今は皆さんの口コミで反響を呼んでいるのかなと。ありがたい」看板メニューは、野菜がたっぷり魚介ダシと醤油ベースのちゃんぽん。【常連客】「25年くらい来ている．昔懐かしい味で、2回に1回はちゃんぽん（食べる）」3代続く老舗ですが、２人いる娘は現時点で店を継ぐ予定はありません。
そんなとき、常連客からの推薦もあり、「後世に残したい店」に登録されました。ただ、大坪さんは複雑な心境です。【ながさき屋食堂３代目・大坪利子さん】「本当は残した方がいいんでしょうけどね…。味がどこまで（継がせられるか）母と私とちゃんぽん作るにしても、同じスープでもお客さんが（違いを）分かられる」うちにわざわざ足運んで食べに来ていただく、それがなにより。こんなしてインタビューされたら後世に残さないといけないかなと」
一口に事業承継といっても、店によって事情は様々。後継ぎを希望する人とのマッチングも大きな課題です。【佐賀県産業政策課・福島昂輝主事】「自分がやってみようとやる気のある方たちに、ぜひ声をあげていただきたい。やる気のある方がいらっしゃれば県やお手伝いする機関もありますのでご連絡いただければ、お手伝いをさせていただきたい」
先月（3月）末に45店舗が登録され、実際に後を継ぎたいという人はいないということです。国は後を継ぎたいという人を登録する人材バンクを作っているほか、県は事業承継などを無料で相談できる支援センターと連携も進めています。事業継承に悩む飲食店の一助になるのか今後の動きが注目されます。