【羽田の事故】英語独特の問題 英語はフランス語とドイツ語の混合物である。そのため、前置詞については一部歪(いびつ)になっている。 ★「時間」については、byとinが混乱要因である。 日:3時45分までに 英:by/before 3:45 独:vor 3:45 Uhr 仏:avant 3:45 日:3分後まで(継続) 英:unitl 3 minutes later 独:bis 3 Minuten später 仏:Jusqu'à 3 minutes plus tard 日:3分後に 英:in/after 3 minutes 独:nach 3 Minuten 仏:après 3 minutes 日:3分以内に 英:within 3 minutes 独:innerhalb von 3 Minuten 仏:dans les 3 minutes ★「空間」については、「~の手前」の前置詞が消失し、迂言形となっている。 日:建物の手前に 英:in front of the building 独:vor dem Gebäude 仏:devant le bâtiment 日:建物の後ろに 英:behind the building 独:hinter dem Gebäude 仏:derrière le bâtiment 日:建物の左に 英:to the left of the building 独:links des Gebäudes 仏:à gauche du bâtiment 日:建物の右に 英:to the right of the building 独:rechts des Gebäudes 仏:à droite du bâtiment ★英語の前置詞はかなり融合しており、ほかにも 英:for⇔独:für, vor, ver, 英:by⇔独:bei,von(受動動作主),mit,vor(時間) などの問題がある。 ----------------------------------------------------- ICAOの規定では「滑走路手前のC5で待機」は”Taxi to the holding Point C5 (hold short of Runway)”であり、「滑走路にC5から進入して待機」は”Line up and wait (through) C5”であるが、以前は”Taxi into Position and Hold (through) C5”であった。 この為、聞き間違いが多発したので、滑走路手前で待機する場合は(short of the Runway)と注釈するのが原則だが、羽田では行われていなかったらしい(ネット上の通信記録でも事故機に対する注釈なし)。 副機長はベテランであり、”Taxi into……”と聞き間違えたのではないかと筆者は推測している。管制官が”hold short of Runway”と注釈していれば誤解は生じなかったと考えられる。上記のように英語では「~の手前」を表現し辛いという弱点が災いし、 ”hold short of Runway”と注釈が長くなるので省略が発生したのかもしれない。ドイツ語の”vor Rollbahn”や”vorm Weg”(vorm=vor dem)や”davor”ならば、省略は起こらなかったと思われる。