長く生き残る歌には、必ずそれなりの理由があるものです。 詩人の犬童球渓がアメリカのP・オードウェイの作詞作曲した歌Dreaming of Home and Motherという歌を 日本語に翻訳して世に出した歌です。 明治は、日本人の手になる西洋音階の歌曲など、天才瀧廉太郎以外にはまだ存在しない時代だったのですね。 明治40年文部省の「中等教育唱歌集」に収録され、それ以来人々の愛唱歌となりました。 秋の更けゆく夜、旅先の宿の乏しい灯のもとで故郷の父母に思いを致すという、心に沁み込むまことに美しい歌です。