【目次(時間のリンクからジャンプ)】 ★第一部 ロケットストーブをめぐる冒険2017 01:13 今シーズンモデルのコンセプト 03:45 点火のようす-10㎝四方の新聞紙で- 05:35 上に火が回る状況とは?収拾の仕方は? 08:13 強い燃焼で赤熱した天板 08:38 焚口が大きすぎると上に火が回る 11:02 安定した燃焼のための焚口の大きさ 12:19 長い木をくべてみる 14:29 長い木をくべて30分放置 15:36 長い木をくべる場合の問題点、注意点 17:10 普通の燃焼時の天板の温度 17:43 カバー上部の熱による損傷 18:23 カバーにたまった灰を排出 20:47 マシュマロを焼いてみた 21:59 無煙ロースター焼肉!広い焚口で3人前 25:43 断熱レンガとパーライトモルタルの耐火性 ★第二部 ロケットストーブ閑話 28:35 オリジナルの前にスタンダード 30:31 断熱の重要性 32:00 ロケットストーブに二次燃焼はない 34:00 単純な構造が進化のあかし 36:00 ロケットストーブの燃焼のメカニズム 39:50 燃焼系統と排気系統を分けて考える 48:10 焚口を絞ることについて アプロヴェチョはオレゴン州に拠点があり、再生可能エネルギーを含む持続可能な生活に焦点を当てている非営利組織(NPO)です。 途上国で使用するための効率的な調理用の開発を手掛けていましたが、 技術責任者のラリー・ウィニアルスキが1982年に開発したロケットストーブは有名です。 アプロヴェチョの機関誌の執筆者であるディーン・スティルが2002年の4月に友人宛に書いた手紙の内容を上げておきます。 Dean Still, April 2002 Dear Friends, I was typing up Larry's latest simple stove principles for Aprovecho'snewsletter, "News From Aprovecho", (two to three times a year, $30/year, describes activity, I'm editing number 59) and thought I'd send it along. Reflecting on the Rocket I might point out a interesting point: no secondary air. I've tried adding heated secondary air into the top end of the internal chimney above the combustion chamber but haven't noticed an improvement in amount of smoke or in fuel efficiency. I ended up thinking that enough primary air is left at the top of the combustion zone anyway. Adding air may just reduce temperatures. I'll test this further with better equipment. The Rocket stove is trying to create supportive conditions for complete initial combustion which seems to pretty much work when the right amount of fuel is introduced. The added draft created by the insulated chimney above the fire pulls in lots of air, which like a fan, makes a hotter, vigorous burn. Anyway, here are Larry's principles of stove design: Best, Dean 親愛なる友人、 私はラリーの最新の単純なストーブの原則を記した"アプロヴェチョからのニュース"(年に3回の機関紙。$30/年。私は第59号を編集しています。)を一緒に送ろうと思っています。 私はロケットストーブについて興味深い点を指摘できます。二次燃焼の空気は無いということです。 私は、燃焼室の上の内部煙突(ヒートライザー)の先端部分に、加熱した二次空気を追加してみたのですが、煙の量や燃料効率の改善を認められませんでした。私はとにかく、燃焼ゾーン(燃焼室)のはじめに十分に主要な空気があるということを最終的結論とします。追加空気はただ温度を下げるだけなんです。私はいずれもっと良い機器でこれをテストします。 ロケットストーブは、完全な初期燃焼(1次燃焼)をサポートする条件を実現しようとしています。これは、適切な量の燃料が導入されたときにはほぼ達成できるようです。 燃焼室の火の上の断熱された煙突(ヒートライザー)によって作られたドラフト(上昇気流)は、ファンのように多くの空気を引っ張って、より熱く、激しい燃焼をもたらします。 とにかく、ラリーのストーブデザインの原則はここにあります。 最高です。 ディーン 注1.top end を先端と訳しました。Topは先、ひいてははじめという意味があるように感じました。
ラリー・ウィニアルスキのロケットストーブの原則は、下のページで述べられています。 www.bioenergylists.org/stovesdoc/Still/Rocket%20Stove/Principles.html また、 下のページのChapter2でも、Ten Design Principlesとして10の原則が述べられています。 www.bioenergylists.org/stovesdoc/Pcia/Design%20Principles%20for%20Wood%20Burning%20Cookstoves.pdf#search=%27Larry+Winiarski+Rocket+Stove+Principles%27 書かれていることが若干異なるニュアンスもありますが、相反することが書かれているわけではありません。どちらも併せて確認し、参考にすればよいのではないかと思います。 ここでは、上のページの内容を自分なりに訳したものを書いてみます。 Rocket Stove Principles Dr. Larry Winiarski Technical Director Aprovecho Research Center 1.) Insulate, particularly the combustion chamber, with low mass, heat resistant materials in order to keep the fire as hot as possible and not to heat the higher mass of the stove body. 質量が小さく耐熱性のある素材で特に燃焼室を断熱すべし。 それは炎を可能な限り高温に保つためであり、質量の大きいストーブ本体は熱くならないようにするためです。 2.) Within the stove body, above the combustion chamber, use an insulated, upright chimney of a height that is about two or three times the diameter before extracting heat to any surface (griddle, pots, etc.). グリル、ポットなどで表面から熱を出す前に、ストーブ本体内の燃焼室の上部に直径の約2倍または3倍の高さの直立した煙突構造を設ける。その直立煙突には断熱素材を使うべし。 3.) Heat only the fuel that is burning (and not too much). Burn the tips of sticks as they enter the combustion chamber, for example. The object is NOT to produce more gasses or charcoal than can be cleanly burned at the power level desired. 物は希望の火力できれいに燃焼できれば煙やススを出さない。例えば、燃焼室に入っている薪の先端を燃やすべし(広い範囲でなく)。その燃えている部分だけを断熱保温すべし。 4.) Maintain a good air velocity through the fuel. The primary Rocket stove principle and feature is using a hot, insulated, vertical chimney within the stove body that increases draft. 燃料に当てる空気の良好な風速を維持すべし。 主なロケットストーブの原則と特徴は、ドラフト(気流)を増加させるストーブ本体内の断熱された熱い垂直煙突を用いることである。 5.) Do not allow too much or too little air to enter the combustion chamber. We strive to have stoichiometric (chemically ideal) combustion: in practice there should be the minimum excess of air supporting clean burning. 燃焼室に入れる空気は多すぎたり少なすぎたりしないようにすべし。 我々は、化学的に理想的な燃焼に努める。 実際、きれいに燃焼させるには必要最少限の空気にすべきである。 6.) The cross sectional area (perpendicular to the flow) of the combustion chamber should be sized within the range of power level of the stove. Experience has shown that roughly twenty-five square inches will suffice for home use (four inches in diameter or five inches square). Commercial size is larger and depends on usage. 燃焼室の断面積(流れに垂直)は、ストーブの出力レベルの範囲内のサイズにするべき。 経験から、家庭での使用なら約25平方インチで十分であることが示されている (一辺5インチの正方形)。業務用はより大きく使用状況に合わせる。 7.) Elevate the fuel and distribute airflow around the fuel surfaces. When burning sticks of wood, it is best to have several sticks close together, not touching, leaving air spaces between them. Particle fuels should be arranged on a grate. 燃料を持ち上げ、燃料表面の周りに空気の流れを分配すべし。 木の棒を燃やすとき、一緒にいくつかの棒をくべるけれども それらがくっつかないようにすき間をあけてくべる。 粒子状の燃料は火格子の上に配置する必要がある。 8.) Arrange the fuel so that air largely flows through the glowing coals. Too much air passing above the coals cools the flames and condenses oil vapors. 燃えている石炭には空気が大量に流れるように燃料を配置すべし。 石炭の上を通過する空気の量が多すぎると炎が冷却され、石炭ガスが凝結する。 9.) Throughout the stove, any place where hot gases flow, insulate from the higher mass of the stove body, only exposing pots, etc. to direct heat. ストーブの中で高温のガスが流れる場所はストーブ本体の質量が大きい部分から断熱し、鍋などを置くところだけは露出させ、熱を直接当てる。 10.) Transfer the heat efficiently by making the gaps as narrow as possible between the insulation covering the stove body and surfaces to be heated but do this without choking the fire. Estimate the size of the gap by keeping the cross sectional area of the flow of hot flue gases constant. EXCEPTION: When using a external chimney or fan the gaps can be substantially reduced as long as adequate space has been left at the top of the internal short chimney for the gasses to turn smoothly and distribute evenly. This is tapering of the manifold. In a common domestic griddle stove with external chimney, the gap under the griddle can be reduced to about one half inch for optimum heat transfer. ストーブ本体を覆う断熱材と加熱される面との間のすき間をできるだけ狭くすることで効率的に熱を移動させる しかし 火を消してしまうことなくこれを行う。 高温の煙道ガスの流れの断面積が一定に保持されるようにギャップの大きさを見積もる(推定する) 例外: 外部の煙道またはファンを使用する場合、ギャップは実質的に低減され得る。 上部に内部でくっついてしまわないスペースが残っている限り 内部の短い煙突の上部でガスがスムーズに回りに広がり、均等に分配されるようになります。 これはマニホールドの先細りです。 外部のチムニーを備えた一般的な家庭用鉄製ストーブでは、グリドルの下のギャップを最適な熱伝達のために約1/2インチに減らすことができるのと同じ理屈です。 ●ストーブ設計の10原則[要点(irukakiss意訳) 1.軽く、耐熱性のある材料で燃焼室を断熱せよ。 2.燃焼室表面から熱を出さず、断熱された断面の3倍の高さのヒートライザーを設けよ。 3.焚口に入れられた薪の先端のみを断熱保温し、先端のみを燃やせ。 4.燃料に速い風を当てるためにヒートライザーの性能を最重要視せよ。 5.焚口からは完全燃焼のための最少限の空気を供給せよ。 6.燃焼室の断面積は家庭用で5インチ角(12.7cm角)で十分。 7.燃料の回りに空気を流通させよ。複数の薪は隙間を開けてくべよ。 8.石炭は全体に空気が通るよう配置せよ。空気が上だけ通ると石炭ガスが凝結する。 9.高温の燃焼ガスが流れる部分は全て断熱し、最後にポットなどで熱を利用せよ。 10.ヒートライザーとカバー(鍋)の隙間はできるだけ狭くせよ。
S―フライサフアー O Kさん、コメントありがとうございます。 私は実際やったことがないので頭の中で考えたことしか言えませんが、20cm角の大きさにしても完全燃焼すると思います。ただし、室内暖房用とするならば外部煙突もその断面積にしなければならないし、ストーブ自体も恐ろしく大規模なものとなり現実にはかなり大変かなと思います。ヒートライザーの高さは、ラリーウィニアルスキーの原則の2番目によれば、燃焼室の直径の2、3倍程度となっておりそれに従えば、断面積が400平方cmなので直径は22.6cmとなり、ヒートライザーの高さは45cm~68cmということになります。しかし私の場合、ヒートライザーの高さは直径の7倍程度で作りました。これだと空気の吸入が強すぎて内部の温度を下げるおそれがあるかも知れません。ヒートライザーの最適な長さはもっと短いからです。しかし、私はヒートライザーの能力は強すぎるけれどもその過剰な吸引力を余裕と考え、焚口を絞ることで良好な燃焼状態に容易に調整できると考えており、あえて高いヒートライザーとしています。20cm角の大きさの燃焼室にした場合なら、160cm程度の高さになると思います。 いずれにせよ、恐ろしく大規模です。ラリーウィニアルスキーの原則の8番目に、家庭での使用なら約25平方インチ(5インチ角)で十分であることが示されています。つまり、12.7cm角で十分ということです。 燃焼経路の材料として、2016シーズンまではステンレス煙突や鉄を使用していましたが、どれだけ分厚い鉄でもうまく断熱された燃焼経路では溶融温度に達します。つまり、燃焼経路に金属は使えないというのが今のところの結論です。そのため、材料として2017年シーズンからパーライトモルタルを使いましたがそれでもダメージがないわけではなく、さらなる改善が必要です。キャスタブル等の使用も考えられますが、予算の点で難しく、パーライトモルタルに軽石を混入したパーライト軽石コンクリートでやってみたいと思っております。実際にやった方は居ないと思いますが、私がやるとすれば普通のコンクリートと同じように、パーライトモルタルを練り上げた後に水で湿らせた軽石を混ぜれば良いかなと思っています。このあたりは未知のことなのでやってみないことにはわかりません。ところが私は今年は野暮用が山積し、新しいロケットストーブを作れそうにありません。S―フライサフアー O Kさんがもし作られましたら、是非ともいろいろお教えいただきたいと思います。