音楽の感動を伝える授業が絶対に必要ですね。私は音大ではなく一般の大学(法学部)でしたが、教養課程で受けた「音楽」の授業が実に感動的でした。学生間でも超人気な授業で毎回大教室が満員になります。私が聴いた年は古典音楽からロマン派への変遷がテーマで、いかに古典派の音楽が確立され、そこからさらにそれを破るロマン派が誕生し音楽が発展していったかということでした。毎回レコード(当時)から曲を選び、講師の先生自らピアノを弾きながら解説、主要なテーマなどはプリントを配るなど渾身の講義で皆夢中で聴講しました。第9交響曲のNicht diese Töneの意味も分かりましたし、ベートーヴェンの凄さも改めて実感できました。そしてワーグナーのライトモチーフがなぜできたのか・・一年最後の授業が圧巻でした。先生がかけてくれた曲はワルキューレの最後の場面。ヴォータンの独白に重なる眠りのライトモチーフ、魔の火が娘を守り、やがて現れる真の勇者の地の底から鳴り響くようなモチーフが重なる・・・・この授業の伝えたかった全てがここに集約されているようで、大教室を埋めた全員が(たぶん)涙しました。「音楽って本当に素晴らしい!」これがその授業を一年かけて聴講した多くの生徒の感想でした。この授業のおかげで私は後年バイロイトに行く羽目になりました!
“… in many countries, the education system in the arts has failed. The arts have taken second, third, fourth place. So the first thing that would have to change is to really speak about the arts seriously in school. So that’s the first thing.” -- Leonard Slatkin