統合失調症とは？目立つ特徴5つ【精神科医が11.5分で説明】幻聴｜妄想｜陰性症状｜リカバリー

0:05 （１）はじめに
0:29 （２）統合失調症の様々な印象
2:03 （３）統合失調症の目立つ特徴5つ
2:11 　①悪化で強い混乱
4:46 　②薬は継続が必要
5:53 　③生活面の影響
7:44 　④早期治療が大事
9:02 　⑤社会復帰できることも
10:34 （４）まとめ
悪化時に幻聴や妄想などが目立つ「統合失調症」。改善後も生活面に影響する陰性症状などが目立つなど影響は強いですが、近年では薬の改良なども背景に、社会復帰「リカバリー」の考えが広まりつつあります。
「統合失調症とは？目立つ特徴5つ」につき、精神科医が要点を約11.5分の動画にまとめています。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長）
こころ診療所吉祥寺駅前　kokoro-kichijo...
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（１）はじめに
今回は「統合失調症とは？目立つ特徴5つ」について見ていきたいと思います。悪化すると、幻聴が聞こえるなどで知られる統合失調症ですが、症状はそれだけではなく、他にもさまざまな特徴があります。
（２）統合失調症の様々な印象
統合失調症は今でも精神科病院で扱う代表的な精神疾患です。時代とともに印象には変化も見られていますが、人が持つ印象イメージはいまだにさまざまです。減少傾向とはいえ、精神科での入院の多くは統合失調症の方で、平成29年のデータでは入院している方の約半数が統合失調症という情報があります。一方、入院期間自体は短縮していて、いわゆる長期入院は減ってきています。
以前の統合失調症のイメージでは、長期入院や多剤大量療法が言われることがありました。そして、退院後も療養生活が長く続くということは言われていました。最近のイメージの変化としては、入院の短期化（3カ月以内の入院が大半）、単剤化（主に使う抗精神病薬は1種類が原則）、社会復帰（リカバリー）などが挙げられます。
これらの改善傾向はあるものの、偏見は残るところもあります。例えば、「いつ再発するかわからない」「怖い」「よくわからない」などの印象を持たれる場合があります。
（３）統合失調症の目立つ特徴5つ
さまざまな症状はありますが、取り組めるところもあります。以下、統合失調症の目立つ特徴を5つ見ていきます。
①悪化で強い混乱
悪化した時に、いわゆる「急性期」の状態になり、脳が過敏な状態になります。その結果、強い陽性症状が目立ち、混乱が強くなります。時には制御が難しくなって、入院が必要になる場面があります。
急性期では脳の物質「ドーパミンの作用が過剰」になり、脳が覚醒しすぎる「過覚醒」の状態になります。そして、幻聴、妄想、思考の混乱などの統合失調症特有の陽性症状が目立ちます。
これらの状態に対しては、抗精神病薬と刺激の遮断（頭を休ませる）などで改善を見込むことがありますが、外来では治療効果や継続が困難な場合があり、入院しての治療が必要になることもあります。
②薬は継続が必要
抗精神病薬は改善の効果のほか、再発予防の効果を見込むところがあります。一方、統合失調症は薬なしの状態だと再発のリスクが非常に高いため、安定後も薬の継続は必要です。
薬を中止すると、非常に高い再発率、強い再発（混乱などの強い再発）のリスク、認知機能などへの影響リスクが言われています。未治療期間の短さが予後の改善につながり、過酷な体験や認知機能などへのダメージの影響を避けることができると言われています。
③生活面の影響
急性期から安定した後、生活面の影響がむしろ目立ってくることがあります。これは自発性が減るなどの「陰性症状」や、思考の苦手さなどの「認知機能障害」が目立つためです。
主な陰性症状としては、感情の減少、意欲の減退（無気力・アパシー）、社会的ひきこもりなどが挙げられます。主な認知機能障害としては、注意力や記憶力の低下、計画（段取り）力や問題解決力の低下、処理能力の低下などが言われています。
これらの予防のためには、早期発見と早期治療（未治療期間を減らす）、再発の予防（特に薬をやめてしまっての再発を防ぐ）が大事とされます。対策としては、リハビリ（デイケアなどに参加して活動を続けたり、頭への刺激を増やす）、訪問看護など訪問型のサポートを受ける、福祉制度の活用などが挙げられます。
④早期治療が大事
統合失調症では早期発見・早期治療が大事とされ、特に未治療期間を短縮することが重要です。未治療期間は発症してから治療開始までにかかる期間と定義され、これが短いことで予後は改善すると言われています。
ただし、過剰診断を防ぐため、どこまで早く介入するかに関しては議論があります。前駆状態（ARMS）での介入は有効・重要とされますが、前駆症状が出ても自然に良くなる方もいるため、慎重に経過を見ていきつつ、発症が示唆されればすぐに介入するのが現実的な対策だと思われます。
⑤社会復帰できることも
以前は長期入院や退院後の長期的な療養が多かったですが、最近では入院は短縮して社会復帰を図ることも増えてきています。ただし、負荷が増えた時の再発には注意が必要です。
社会的な予後の改善の背景としては、早期治療の増加、薬の単剤化（副作用の減少）、就労支援など社会的な受け皿の増加などが挙げられます。最近は「リカバリー」という考え方が言われており、疾患を抱えつつも、無理しない範囲でのできる範囲の社会復帰を図り、その中で生きがいなど人生の充実を図っていくというものです。
ただし、再発には注意が必要で、仕事のストレスが過剰になってしまうと再発のリスクになります。障害をオープン（公開）にした方が安全性が高いと言われており、悪化の兆しがあった時は主治医や就労支援の支援者などに相談することが大事です。
（４）まとめ
以前とは印象が変わった面もありますが、まだ偏見もある統合失調症。目立つ特徴は次の5つです。
1. 悪化で強い混乱
2. 薬は継続が必要
3. 生活面の影響
4. 早期治療が大事
5. 社会復帰できることも
再発を防ぎながら、できる範囲の社会復帰を目指していく「リカバリー」の考えが、特に最近重要になってきています。
こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station）
府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695)
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【解説者】
医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎
精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医）
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。

[@五味睦雄]

とても分かりやすいです。 項目ごとに説明頂いて有難いです。 娘が発達障害と統合失調症なので、対策したいと思います。