ICAOの規定では「滑走路手前のC5で待機」は”Taxi to the holding Point C5 (hold short of Runway)”であり、「滑走路にC5から進入して待機」は”Line up and wait (through) C5”であるが、以前は”Taxi into Position and Hold (through) C5”であった。 この為、聞き間違いが多発したので、滑走路手前で待機する場合は(short of the Runway)と注釈するのが原則だが、羽田では行われていなかったらしい(ネット上の通信記録でも事故機に対する注釈なし)。 副機長はベテランであり、”Taxi into……”と聞き間違えたのではないかと筆者は推測している。管制官が”hold short of Runway”と注釈していれば誤解は生じなかったと考えられる。上記のように英語では「~の手前」を表現し辛いという弱点が災いし、 ”hold short of Runway”と注釈が長くなるので省略が発生したのかもしれない。ドイツ語の”vor Rollbahn”や”vorm Weg”(vorm=vor dem)や”davor”ならば、省略は起こらなかったと思われる。 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 改善策の私案 ★ICAO(国際民間航空機関)の規定では、使用言語は「英語または現地語」とされている。最も重要な滑走路への進入や着陸許可等では、英語のほかに日本語も併用するべきである。 ★滑走路前で待機させる場合、重要な注釈”short of the Runway”の省略を禁止する。 ★管制塔から衝突現場まで直線距離で約2kmも離れている。これはJRの基準で見れば閉塞区間(600m)の3個分であり、これを双眼鏡で目視確認している現状は、あまりにも理解に苦しむ。政府は直ちに予備費で、滑走路に監視カメラを、滑走路両端には離発着する航空機を追尾できる望遠カメラを設置するべきである。 ★新千歳空港や関西空港や伊丹空港などは、並行滑走路について原則的に離陸専用と着陸専用を使い分けているが、羽田もこの運用を徹底するべきである。しかし、千歳空港や伊丹空港はターミナルビルが端にあるため、離陸用航空機が着陸用滑走路を平面交差で横切る必要がある。 このような場合でも物理的な遮断機はなく、専ら無線で指示している。地方ローカル空港ならまだしも、大規模空港でこのような前近代的なシステムが放置されていることは重大問題である(本来ならば、空港にも立体交差があってしかるべきである)。 ★羽田の場合、昔の名残で、A滑走路の北端がB滑走路と平面交差しているるので、南側に移設する工事を直ちに着手(調査・測量・環境アセスetc)を開始するべきである。 ★また、離陸用と着陸用の滑走路を分離した運用を徹底するべきである。 ※1.上海の浦東国際空港は滑走路が4本あるが平面交差は無い。 ※2.保安体制については、鉄道のほうがよほど優れている。鉄道の場合、赤信号を見落として冒進した場合には安全側線に逃がすか、ATSにより非常ブレーキが掛かる。
【羽田の事故】英語独特の問題 英語はフランス語とドイツ語の混合物である。そのため、前置詞については一部歪(いびつ)になっている。 ★「時間」については、byとinが混乱要因である。 日:3時45分までに 英:by/before 3:45 独:vor 3:45 Uhr 仏:avant 3:45 日:3分後まで(継続) 英:unitl 3 minutes later 独:bis 3 Minuten später 仏:Jusqu'à 3 minutes plus tard 日:3分後に 英:in/after 3 minutes 独:nach 3 Minuten 仏:après 3 minutes 日:3分以内に 英:within 3 minutes 独:innerhalb von 3 Minuten 仏:dans les 3 minutes ★「空間」については、「~の手前」の前置詞が消失し、迂言形となっている。 日:建物の手前に 英:in front of the building 独:vor dem Gebäude 仏:devant le bâtiment 日:建物の後ろに 英:behind the building 独:hinter dem Gebäude 仏:derrière le bâtiment 日:建物の左に 英:to the left of the building 独:links des Gebäudes 仏:à gauche du bâtiment 日:建物の右に 英:to the right of the building 独:rechts des Gebäudes 仏:à droite du bâtiment ★英語の前置詞はかなり融合しており、ほかにも 英:for⇔独:für, vor, ver, 英:by⇔独:bei,von(受動動作主),mit,vor(時間) などの問題がある。