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子どもの幸せを願って飾るひな人形。家で眠っていた着物の帯などから作られました。
娘に伝えたい思いとは?
名古屋市緑区に住む鳥越美咲さん(31)と生後10カ月の一禾ちゃん。
「これは母が結婚式とかで使っていた帯」(鳥越美咲さん)
持ってきたのは、鳥越さんの祖父母が母にプレゼントした着物の帯と上から羽織る道行きコート。
「お気に入りのものだけど、お雛様にして大丈夫ですか?」(伝統工芸士 清村好英さん)
「はい。ひな人形映えしそうだねって」(鳥越美咲さん)
この人形店では、伝統工芸品「名古屋節句飾」のひな人形などを手掛ける傍ら、家に眠っていた着物などからつくる「思い出雛」の製作もしています。
亡き祖父への思いとともに
「自分の思い出のあるものをひな人形という形でリメイクで使ってもらうことによって、思いがつながれば一番いいかなと思う」(伝統工芸士 清村好英さん)
今回、鳥越さんは実家で眠っていた母の帯などで娘・一禾ちゃんのひな人形を作ることに。
そこには、大好きだった亡き祖父への思いがありました。
「帯は母親が何度も親戚や家族の結婚式で使っていたもの。祖父は私が小さいころに目が見えなくなって、私が大人になってからも私の子どもが生まれたら見たいなとか言っていた。着物と帯を通して、私の娘の成長をおじいちゃんが見守ってくれるのではないかという思いで」(鳥越美咲さん)
曽祖母の誇りを娘にも伝えたい
作業場では鳥越さんから預かった帯と道行コートを裁断。この作業は、人形師歴50年以上の清村さんでも緊張するそうで――
「預かりものにはさみを入れる時の緊張感ですね。一回はさみを入れてしまうと、もう後は勢いで行くが最初は『これでいいのかな』とだいぶ悩む」(伝統工芸士清村好英さん)
鳥越さんから預かった名古屋市の伝統工芸「有松絞」があしらわれている道行コート。こちら実は、鳥越さんの曽祖母が染めたもの。
「私の曽祖母が有松絞の職人をしていて誇りに思っていた。一禾はその姿を見ることができなかったので、有松絞を作っていたという人がいることを伝えたくて」(鳥越美咲さん)
完成したひな人形を前に鳥越さんの反応は
裁断された生地は一つ一つの柄が合うよう、丁寧にミシンで縫いこんでいきます。
そして、人形に着物を着せる作業や、手を取り付ける作業など、約1カ月かけて完成します。
着物の帯は、お殿様の着物に生まれ変わり金色が映える豪華な装いに。そして道行きコートは、「有松絞」の着物に身を包んだお姫様へ。家で眠っていた帯と道行コートに、新たな命が吹き込まれました。
完成したひな人形を見た鳥越さんはーー
「すごい素敵!あの帯と着物がこんな素晴らしい人形になるなんて想像できなかったのでびっくり。なんて言い表していいかわからないぐらい素敵」(鳥越美咲さん)
新しい命を吹き込む職人技
「職人冥利に尽きます。リサイクル、使いまわしではなく違う生命を吹き込まれている瞬間なので、延長線ではなく新しい価値ができてすごくワクワクしている」(伝統工芸士 清村好英さん)
あれから1カ月。完成したひな人形は鳥越さんの自宅にありました。
「すごい立派なものを作ってもらったなと感謝の気持ち。一生の宝物になると思う」(鳥越亮太さん)
「着物として取っておいてもなかなか着る機会がないし、ひな人形として飾ることで、一禾も日ごろから見ることができるし、成長を見守ってもらえるような感じがするのでうれしい」(鳥越美咲さん)
娘の成長を願う思いとは
もうすぐひな祭り。
家族は、一禾ちゃんの健やかなる成長を願います。
「感謝する気持ちを忘れずにたくましい女性になってほしい」(鳥越亮太さん)
「たくさん食べて、すくすく育ってくれればそれ以上望むことはない」(鳥越美咲さん)