品川歴史探訪 東海道北品川宿 ～北品川～

ナレーション「北品川、ここはかつて東海道五十三次の第一の宿、品川宿があり賑わいをみせていました。現在の北品川周辺には、宿場町の雰囲気を残した場所がいくつかあります。当時の面影を探して、北品川の歴史を辿ってみましょう」
ナレーション「歌川広重作　東海道五十三次　品川「日之出」。早朝、御殿山のふもと、品川宿の八つ山を通り過ぎる大名行列。店を開いている宿場外れの茶店。茜色に染まる品川沖の空が描かれています」
　　
ナレーション「北品川2丁目にある聖蹟公園。ここにはかつて、品川宿の本陣がありました。本陣とは参勤交代の大名が宿泊したり休憩したりする場所のこと。品川歴史館に、品川宿の本陣を再現した模型があります。本陣の建物は、武家屋敷に見られるような門、玄関、書院などがあり、大名行列の駕籠や長持ちなどの荷物を置く場所が設けられていました。本陣は、明治維新の大政奉還に際し、京都から江戸へ向かった明治天皇の休憩所にもなりました。そのことから、『聖蹟公園』と名付けられました」
ナレーション「北品川の鎮守である品川神社。文治3年、1187年に、源頼朝が安房国洲崎大明神を勧進して品川大明神と称したのがはじまりといわれています。浅間神社の前にある石灯籠は、慶安元年,
1648年に寄進されたもの。都内に現存する石灯籠の中でも特に古いもので、品川区の指定文化財となっています」
ナレーション「また、社殿の一番近くにある石造鳥居は、下総佐倉の藩主、堀田正盛が慶安元年に寄進したもので、都内で2番目に古い鳥居です」
ナレーション「赤い鳥居をくぐると、小さな祠があって、その中に、一粒萬倍という泉があります。100円玉を洗うといずれ100万円になるといわれてる、ありがたい泉です。江戸時代、品川神社は東海寺の鬼門に当たることから東海寺の鎮守となり、江戸幕府から保護を受けていました」
ナレーション「毎年元旦・4月・6月・11月に品川神社の太太神楽が拝殿で奉納されます。現在、品川神社の太太神楽は、地元保存会の人たちによって伝承されています。神話等に題材をとった12座が伝わっていて、東京都の無形民俗文化財に指定されています」
ナレーション「また、品川神社には富士塚があります。品川富士とも呼ばれる富士塚を登ると、眼下に北品川の街が見渡せます。品川神社の裏手には、板垣退助の墓があります。もともと高源院の墓地にありましたが、お寺が移転したため、墓だけがここに残されました。墓の傍らには、遊説中に刺客に襲われたときに言ったと伝えられる有名な言葉、『板垣死すとも自由は死せず』と刻まれた碑が建てられています」
ナレーション「鎌倉時代　正安元年、1299年開山の養願寺。虚空蔵菩薩を本尊にしており、品川の虚空蔵さまとして親しまれています。今日は毎年4月と11月に行われる虚空蔵尊祭。商店街は多くの人たちで賑わっています。虚空蔵は『十三詣』と結びついて、子供が13歳になったとき虚空蔵参りをすると、福・徳・知恵が授かると言われています。江戸時代には毎月13日にお参りをする人が多かったということです」
ナレーション「推定樹齢400年、高さ25メートル。この大きなイチョウの木が立つのは、至徳元年、1384年に開山された法禅寺。本堂は大正11年に建立されたものです。江戸時代の後期に起こった天保の飢饉。その際、品川宿周辺でも891名が亡くなりました。北品川宿では、死者を法禅寺に葬り、塚を築いて、正面左右に3体ずつの六地蔵を安置しました。明治4年に建てられた流民叢塚碑は、この塚の由来を記しています。また、法禅寺には、品川台場の築造の際、御殿山の土とり場から出土した中世の板碑が納められ、供養されています」
　　
ナレーション「今回は、北品川周辺の史跡を訪ねてみました。宿場町の面影が現在も残っていましたね。品川区には身近なところにまちの歴史を伝える史跡や文化財などが数多くあります。次回も品川歴史探訪をお楽しみに」