室生寺 Murouji temple in Nara, Japan

地図を見ると室生寺の背後には標高621ｍまで一気に立ち上がっている急峻な室生山がそびえ立ち、室生川が大きく蛇行して広く開けたその場所に室生寺があります。
太鼓橋を渡った本坊山門のあたりが標高350ｍなので背後に270ｍほどの崖のような山がそびえ立つ。
建物の古び方が他の社寺の建物の古び方と違うように感じる。苔むすように古びていく。風化して塗膜がなくなった部分が苔に置き換わっていってるような感じ。
建物がまわりの自然と風景と調和しつつも存在感を放ってる。
五重塔を見ると、橿原神宮に行った際にちょうど七五三詣りということで
赤い色の晴れ着姿の小さな女の子を見かけたがちょうどその子が両袖を広げて石段の上に嬉しそうに立っているかのような姿と重なります。
『　シルクロードを越え、中国や朝鮮を通して様々に影響を受けた日本の美術は、イミテーションでは決してないと、土門は思った。
「たとえ形式は彼に借りているとしても、内にこめる精神は我のものであり、しかもその 深さにおいては比較にならない」(前掲『古寺巡礼』第一集)
「二千年来、雪山を越え、流沙を渡り、黄塵にまみれて、層々と東漸する文化」はすべて日本列島という防波堤に遮られて、この列島の風土に沈静する。
「自己の内部に充分に淳化発酵させて、いわば上澄としての日本文化が生まれるのである」
淳化発酵させるには、良質の酵母が大切だが、その酵母とは「列島の風土であり、ほかならぬ我々日本人なのである」と彼は自信を持って語る。
「ぼくが上澄としての芳醇な日本文化を撮る。それは取りも直さず、良質の酵母を捜すことであり、本物の日本人を知りたくて、ぼくは古寺巡礼を続けたのである」　』
都築政昭『土門拳と室生寺　四十年詣でのはてに見えたもの』ベスト新書
『　...そうして又、灌頂堂から西の方へ歩いて行くと、三度、自然石の石段を登ることになるのであるが、
この石段の下まで来た時に、室生寺の訪問者は、長い間、噂にのみきいて、
あくがれていた有名な美しい塔をはじめて視界の内に入れるのである。
昔の人は別にそうした演出を考えたわけではあるまいが、深い木立ちに守られた装飾的でない建築にのみ潜められて来た眼が、
老杉の厳しい直線と、楓の夢のように軟かい嫩緑（わかみどり）の煙の中に、
美しい姫の五つ衣の袖のように青茶(屋根の檜皮)白(漆喰) 濃紅(屋根裏)の三色の次々に重った小さい五重の塔を下から見上げた時の、
あでやかなもの、可憐なものの最上に捧げる感動は生やさしい言葉では到底表現出来そうにもない。...
私はこの美しい五重塔の下に、正に薄暮の迫ろうとしている時刻に佇んでいた。
雨が降ったりやんだりして、あたりの若葉を紗を透すように濃く薄くぼかし、
石楠花は散ったかわりに蘇芳の花の赤紫がみどりに交って、塔の端麗な線の近くに滲んでみえた。』
円地文子　入江泰吉　『 室生寺 』　平凡社ギャラリー25　
― chapters ―
00:00 title＆intro
00:42 太鼓橋
00:56 本坊山門
01:09 三宝杉
01:23 バン字池
01:26 仁王門
03:42 金堂
05:27 弥勒堂
07:20 天神社
07:57 本堂（灌頂堂、国宝）
09:41 五重塔
10:11 修円僧都の廟
10:46 奥之院　無明橋
11:11 奥之院　常燈堂（位牌堂）
11:54 奥之院　御影堂（大師堂）
15:54 室生山
― map ―
室生寺　www.google.co.jp/maps/@34.537...
土門拳記念館　www.google.co.jp/maps/place/%...
日本初の写真専門の美術館として、7万点におよぶ土門作品のすべてを所蔵している。
建物の設計は土門と親交が深かった谷口吉郎の子息である吉生が手掛けた。
― website ―
室生寺: www.murouji.or.jp/
奈良交通バス: www.narakotsu.co.jp/rosen/rin...