「風の電話」 もう会えない大切な人に語りかける 見えない電話線の先に心をつなぐ<岩手県> (23/03/17

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Күн бұрын

岩手県大槌町に会えなくなった人に思いを伝える電話ボックスがある。
東日本大震災から12年目の3月11日、思いを伝えに受話器に語りかける1人の男性がいた。
大槌町浪板の高台にある、季節の花が咲く庭園・ベルガーディア鯨山。
その片隅にたたずむように置かれた1台の電話ボックスが「風の電話」だ。
「風の電話」に電話線はつながっていない。
訪れた人々は受話器を通し、もう会えない大切な人に語りかける。
3月11日、マフラーを大事そうに抱える男性が「風の電話」を訪れた。
奥州市の黒石寺で行われる蘇民祭で、祭りを取り仕切る役の一人・佐々木光仁さんだ。
東日本大震災前、祭りで使われる麻袋を作ってくれていた大槌町の知人の行方が今も分からないままだ。
友人の形見のマフラーを手に、受話器に静かに語りかけた。
黒石寺蘇民祭保存協力会 佐々木光仁さん
「(コロナで)2年、蘇民祭ができなかったけど、今年は小さくだけど、やることができました。まだ冷たい海の中かもしれないけど、帰りにはお墓参りもさせてもらいますね」
黒石寺蘇民祭保存協力会 佐々木光仁さん
「長い間(麻袋を)作ってくれて、それで祭りが成り立ってきた。ここに来ると泣いてしまう。『せっかく守ってくれた祭りができなかった』と。『(今年は)縮小しながらも裸男たちが、やっと境内に来て清めてお札もらって帰ったよ』って(伝えた)」
震災から12年経った今もこの電話を訪れる人は絶えない。
3月11日、「風の電話」には、東日本大震災の日とは対照的な暖かい春の風が吹いていた。

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