【「高齢者には低い声で喋った方が伝わりやすい」って本当？→迷信です！】音のクイズで始まる、マスク越し、年配者相手でのコミュニケーション能力を上げる想いやり話し方講座

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今回は、皆さんは聞いたことがあるでしょうか？　以前から「高齢者には低い声で喋った方が伝わりやすい」という話がアチコチで言われているんですが、それって本当？ってお話しをしたいと思います。
結論から先にお知らせすると、これは迷信です。
以前から「高齢者には低い声で喋った方が伝わりやすい」という話がアチコチで言われています。
実際、ネットで検索しても、「高齢者には声色を低くして話しましょう」といった話がけっこう出てきます。
学生時代に先生やアドバイザーの方から「高齢者には声色を低くすると伝わると教わった」と仰る耳鼻科のドクターや、言葉や聞こえの専門家、言語聴覚士の先生を、実は個人的に何人か知っていたりします。
でもこれって、ハッキリ言って迷信なんです。
迷信どころか、かえって伝わりにくくなってしまう可能性が高いので、もし意識してやられている方がいたら、すぐにやめた方が良いんです。
ただ、迷信と言っても、何の根拠もなく出てきた話ではなく、昔々のどなたかのちょっとした勘違いが広まってしまったという感じだと思います。
どんな勘違いか説明しますね。
まず、ほとんどの人は加齢に伴って高い周波数の音の聴力が落ちてきます。
つまり高い音が聞こえにくくなってくるんですね。
これは、加齢に伴う自然な老化現象です。
おそらくは、この話から、高齢者は高い音が聞こえにくい→低い声で喋れば伝わる　という勘違いが起こったのだと思います。
この図では、概ね1000～2000Hzくらいより高い周波数の聴力が落ちてきていますね。
加齢に伴って落ちてくるのは、この図の通りほとんどの場合は1000Hzとか2000Hzより高い周波数で、それより低い周波数の聴力ってあまり落ちないんです。
ところで、人間の声の高さ、つまり声の音程を決める周波数って何Hzくらいでしょうか？
人間の声の高さを決める周波数成分って、声の基本周波数成分って言うんですけれども、これはだいたい、男性の声が100Hzとか120Hzくらい、女性の声が200Hzとか250Hzくらいなんです。
ちょっと試しに私の声を分析してみますね。
この図の上の部分が基本周波数成分の変化です。
声を高くしたり低くしたりするのに従って、変化しています。
一方、下は声に含まれる周波数成分の分布を表したものです。
色が濃い部分が強い周波数成分を表しています。
この周波数成分の分布、つまり濃淡の模様の変化で言葉の内容などが変化するわけです。
これを見てもらえればわかると思います。
声を低くしたり高くしたりすれば、言葉の基本周波数は、それに応じて変化します。
そしてその値は、ちょっと見にくいですけど、私の声の場合は100Hzあたりの数字です。
一方、声に含まれる基本周波数以外の周波数成分は変化していませんね。
加齢に伴って聴力が落ちてくる、1000Hzとか2000Hz以上の周波数成分は変わっていません。
そうなんです。声色を変えたって、基本周波数以外の周波数成分は、いくらも変化しないんです。
加齢に伴う聴力の低下と関係の無い、もっとずっと低い基本周波数が変わるだけなんですね。
いやむしろ、慣れない声の出し方をしたせいで、全体的に色が薄く、つまり弱まってしまっています。
これでは、かえって聞き難い声になってしまいます。
時々、「いやでも、私の祖母は女性よりも男性の声の方が聞きやすいって言いますよ！」と仰る方がいるんですけれど、おそらくそれは、その方のおばあちゃんの周囲の女性の方の話し方に何らかの問題があったのでは？と思います。
すごく早口だったり、やたらと大きな声で話したり、そういう女性が周囲に多かったのではないでしょうか？
実際、私が出会ってきた高齢者の方には、逆に、男性よりも女性の声の方が聞きやすいという人も多くいました。
これも、おそらく周囲にいる男性に、ボソボソと滑舌の悪い話し方をする人が多かったせいなんだと思います。
先ほどの分析結果を見ても明らかなように、「高齢者には声色を低くして話しましょう」は迷信ですし、そんな慣れない喋り方をしたら声が小さくなったり、カツゼツが悪くなって、かえって伝わりにくくなる可能性もあります。
それよりも、あなたらしい、あなたそのままの声で良いですから、想いやりトークで練習して、ユックリ、子音をハッキリと発音して話してくださいね。
今回の最初の音のクイズも、無料アプリ「想いやりトーク」でもおなじみの、年配の人には言葉がどう聞こえるか？をシミュレーションした模擬難聴音声を、早口で雑な喋り方の音声で聞いていただきました。
年配の人に早口で話しかけると、こんな風に聞こえてしまうんですよ！
何て言っていたか分かりましたか？
無料アプリ「想いやりトーク」で練習して、しっかりと伝わる話し方をマスターしてください。
そして、どんな年代の人も、お互いを想いやって穏やかに会話できる国にして行きましょう。
BGM: Pure Green Step by Shimtone
Planned by Shinichi Sakamoto and Tsutomu Tanaka.
Produced by Otodesigners Co., Ltd.