ヒンディー語専攻していたものです。 前回の冒頭いきなりヒンディー語の諺が出てきたので、嬉しくなって「世界ことわざ比較辞典」を手に入れました。表紙にऊँट के मुँह में ज़िरा (ラクダの口にクミンシード) が挿絵付きで載っていたので期待大だったのですが、実際開いて読んで見ると、約400ある諺のうち10にも満たない項目にしかヒンディー語が出ていなくてガッカリ。同系統言語で同じ文化圏のネパール語はほぼほぼ全部の項目に出ているのに…。「同じ穴の貉」という意外な項目で出ていたけど、 एक ही थैली के चट्टे बट्टे の訳が「一つの袋の幼児用おもちゃ」とあって、なんか製品の取扱説明書みたい…。「同じ巾着袋に入っているおしゃぶりとガラガラ」の方がイメージしやすく、「どんぐりの背比べ」みたいなホンワカ感や事の矮小性が伝わるんだけどなと思いつつ…。外国語の諺は文化背景が違うところや意味の指す範囲の限界あって、少ない語彙でピッタリのイメージ伝えるのは至難の業ですね。でもまえがきを読んでこの辞典の目指すところや膨大な作業には敬服です。
ドイツ語の諺「ズボンと上着は同じ」は「Jacke wie Hose」、直訳すると「ズボンみたいな上着」で、大昔はズボンも上着も同じ生地だっただろうという点に着目すれば、お二人も動画内で仰っていましたが文脈的に理解に難くはありません。 僕は、中世の生地職人が生地を青"blau"に染める為に酔い潰れた人の尿を使っていた事から派生した"blau sein"(訳「青い」→酔っている)、その後生地を乾かす間ぐうたらしていた事から派生した"blauer Montag"(訳「青い月曜日」→定休日)"blaumachen"(訳「青する」→サボる)や、第一次世界大戦中の兵隊たちが敵地でお家に帰りたいあまり「駅」という単語にしか反応を示さなくなったという経緯からできた"nur Bahnhof verstehen"(訳「駅しか分からん」→わけわかめ)など、背景の文脈が突拍子もない諺シリーズも奥ゆかしくて好きです