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北海道では札幌市への一極集中が進み、地方の過疎化が深刻となっていますが、人口の減少を食い止めた町があります。
北海道十勝地方の上士幌町です。一体そのワケは?
「奇跡の町」とも呼ばれる秘密に迫りました。
北海道十勝地方北部の上士幌町。酪農が主な産業の町の人口が増加しています。
子どもたちが英語で会話をしているのは、認定こども園の「ほろん」です。幼児期から異文化交流を進めるため、外国人の教師が英語教育を行っています。
2015年の開園時には102人だった園児が、2022年度は170人に増えました。
認定こども園 ほろん 中野 可南子さん:「移住する人が年々増えています。子育て世代も多く移住してくるので、入園者数も増加しています」
上士幌町では全国に先駆け、2016年から保育料の完全無料化を行い、給食費も無料としました。
2年前に大阪から移住してきた倉嶋さん一家です。きっかけは北海道旅行をした際、長男の伶くんの体調が改善したことでした。
大阪から移住した 倉嶋 香菜子さん:「アレルギーやぜんそくの症状が出ず、住む場所を変えたら、こんなにも過ごしやすくなるんだと衝撃を受けた。十勝の街並みが、自然好きの我が家にはぴったり」
大阪とは全く異なる環境の上士幌町での生活ですが、子どもの教育環境が充実していると感じています。
大阪から移住した 倉嶋 香菜子さん:「のびのびしています。児童が少ないので、全学年の先生が名前覚えて声をかけてくれる」
倉嶋 伶君:「みんな最初から話しかけてくれて、遊んでいて楽しい」
夫の淳さんは空き店舗をリノベーションし、トレーニングジム併設の整骨院を開業。町の新規創業支援事業の助成金を活用しました。
大阪から移住した 倉嶋 淳さん:「町の支援制度はサポートになっていると思います。整骨院が近くにできてありがたいと、患者もたくさん来ています」
上士幌町では、さまざまな移住促進策を進めています。その一つが移住を検討している人を対象にした生活体験住宅です。
家具や家電などが備え付けられていて、1週間から1年の間、試しに住むことができます。
NPO法人 上士幌コンシェルジュ 川村 昌代さん:「この見晴らしですね。みなさん住宅に入ってこられてすごく驚かれまして、北海道を感じる景色ですごく人気があります」
上士幌町の人口は2015年の4886人から、2021年12月には4935人に増えました。町外から移り住んだ人は2019年度までの5年間で244人にのぼります。
上士幌町 竹中 貢 町長:「安心して子育てできる環境が、人口の流出を食い止めるのにもつながってくる。外からこの町に関心を持って住んでもらえる条件にもなる。子育てに関して徹底した支援策を行ってきた」
この政策を支えているのがふるさと納税。ブランド和牛のハンバーグなどの返礼品が人気を呼び、寄付額は十勝管内トップの17億円以上にのぼります。これをもとに保育料や、高校までの医療費を無料化しました。
上士幌町が今、子どもたちが住み続けられる町にするために、力をいれているのがバイオガス発電です。町では人口の9倍にあたる4万頭の牛が飼育されています。
7基の発電施設で牛のふん尿からガスを取り出し発電しているのです。
ドリームヒル 宗像 勇輔さん:「ふん尿が余り気味だった。それがエネルギーになって電気を起こすというのは、一昔前は考えられない」
町の電力自給率はバイオガス発電分だけで100パーセントに達します。
人口減少を食い止め持続可能な町に。上士幌町の挑戦は続きます。