『ジョーカーはどっちを殺すのか選べと言っていて、どっちを救う?とは言ってない、つまり逆の居場所を言ったわけじゃない』との事ですが、その辺りの英語のセリフを確認してみました。 ジョーカーはバットマンに「you're gonna have to play my game if you wanna save one of them.」つまり「もし彼らのうちの一人を【助けたいなら】、俺のゲームに参加しなきゃいけない。」と言ってます。 そして「どっちを殺すか選ぶんだ」と訳されているところは「Choose between one life or the other」つまり「どちらかの【命を選べ】」と言っています。 これは「どっちを救う?」と言っているのと変わらないのではないでしょうか。 そしてジョーカーが2人の居場所を言うセリフは次のようになってます。「He's at two hundred and fifty, Fifty Second Street...and she's on Avenue X at Cicero.」つまり「彼は52番通りの250番地にいる。彼女はシセロのX通りにいる」と言っています。ハービーはその場所に【いる】、レイチェルはその場所に【いる】と言っています。 なのでジョーカーは逆を言ったと考えるのが自然だと思います。ジョーカーは他の場面でもチグハグな言動をします。ここだけストレートに述べたとするのはストーリー全体的にも不自然な気がします。 それとジョーカーとハービーが会う病室のシーンにも誤訳があります。それはジョーカーが自分の頭に銃口を当てさせ、ハービーがコインをトスする前のジョーカーのセリフです。 ジョーカーはハービーに「you know the thing about chaos? It's fair.」と言いますが、日本語字幕だと「何が混乱を起こす?恐怖だ」となっています(吹き替えだと「混沌の本質が分かるか?それは恐怖」)。 しかし「It's fair」ですから「恐怖だ」は明らかに間違いで「公平だ」あるいは「フェアだ」とするべきですね。つまり「混沌の本質を知ってるか?それは【公平】だ」とジョーカーが言い、そしてハービーがコインを投げる。 なので、そこでジョーカーはガッカリしたのではなく「しめしめ」と思ったんじゃないかなと思います。しめしめの方がジョーカーっぽいですしね。
「なぜバットマンはハービーを助けたのか」の解説の部分ですが、実際に役者が発しているセリフから考えると、どっちを殺すか選ばせたという解釈は難しいと思います。 ジョーカーのセリフの「どっちを殺すか選ぶんだ」という訳の部分は「Choose between one life or the other」と言っており、殺す人物を選択せよといったようなニュアンスはなく、2つの命のうち一つを選べと言っています。また、「男は52ストリート250」「女はXアベニューシセロ」の部分も「He’s at 250 52nd Street」「She’s on Avenue X at Cicero」であり、実際のセリフでは彼(ハービー)は250 52nd Streetという場所にいる、彼女(レイチェル)はAvenue X at Ciceroという場所にいると明確に言っているのです。 「That’s the point」(そこがポイントだ)というセリフもその次の「You’ll have to choose」(あなたは選ばなければならない)にかかっているので、あなた(バットマン)が選ばなければならないことがポイントだということになります。 確かに日本語吹き替え、日本語字幕のみから考えると守鍬さんの解釈も可能だと思いますが、実際のセリフを考えたうえでどっちを殺すか選ばせたと解釈するには無理があります。 Script Reader Proというサイトでダークナイトの脚本が無料で閲覧できますので参考にしてください。www.scriptreaderpro.com/best-screenplays-to-read/ 該当のシーンは106ページから始まります。実際の映画内でのセリフは脚本とは微妙に違いますが、どちらも確認したうえで上記では映画内での実際のセリフを引用しています。 守鍬さんの映画本編から内容を探求していこうというスタンスに共感し、いつも楽しく動画拝見しています。今回はこの部分の解説にコメント欄の多くの方が素直に納得していたのでコメントしました。これからも動画投稿頑張ってください!