写真で物語は描けない。理由を説明します。｜誰も語らない写真講座 ②

【今回の補足説明】今回は、写真を単体で見たときの捉え方に関する話が中心的となり、写真を編む、つまり群としたときの捉え方についてはそれほど触れることができませんでしたが、基本的には変わりません。
やはり例としては「家族アルバム」が挙げられます。
作者やその家族にとっては面白みの分かるそれも、他人にとってはまるで面白さが分からない。それというのも、家族アルバムそのものが具体的な物語を語り出すのではなく、読み手が誰であるかということや、それを眺めるタイミング次第でその解釈がまるで変わってくる。そういうものだと思うんです。
つまり家族アルバム自体、一見なにか物語を抱えていそうに見えるけど、実はそれって幻想なんじゃないか？ということ。それが、この動画の問題提起です（今回の動画では、そうした例として家族アルバムを挙げるつもりだったのですが、うっかり冒頭で話してしまい、話の筋が伝わらない順序になってしまいました💦）
写真を編むとき、自分なりの物語をどれだけ詰め込んでも鑑賞者にはその大半が伝わらないものです。こうした体験は「写真から撮影者の気持ちは伝わらない」と言われることに近いことかもしれません。
写真の特性は、物語ることではない。
そのことを考え、写真でしかできないことはなにか？
これを考えていきましょう。
近ごろは短い動画配信を心がけているので、ところどころ説明が足りないこともあるかとは思いますが、どうか引き続きお付き合いください。
【参考にしたい一冊】
アレック・ソス（Alec Soth）のインタビューが掲載された雑誌「IMA」Vol.30です。
amzn.to/3xVVp9n
このなかでソスは、写真を編むときの秘訣として「connecting dots」という昔ながらの遊びを例に挙げながら説明しています。そのほかにも、写真作家としてのビジョンをあますことなく答えているので、この号は手元に置いておいても損はないはずです。
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◉もくじ
00:00 前置き
00:52 写真は常に意味が変わるもの
02:28 写真で物語は描けません
03:16 そもそも物語とはなにか
03:56 写真でカタルシスは得られない
04:20 ジェフウォールのナラティブな写真
05:23 宗教画はどうか
06:49 写真には始まりも終わりもない
07:50 二次元と三次元の違い
08:40 写真は物語から離れて存在できる
◉トモコスガの『誰も語らない写真表現講座』シリーズ
第１回 写真でしか現せないこと • ◯◯◯しないことで、写真は「より写真らしくな...
第２回 写真を巡る物語性 • 写真で物語は描けない。理由を説明します。｜誰...
第３回 潜像残像 • 写真とは、地層や化石のようなもの。｜誰も語ら...
第４回 作者の死 • 写真の撮影者が不在となったとき、僕たちの前に...
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○【後書き寄稿】深瀬昌久『RAVENS』Mack
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○【後書き寄稿】深瀬昌久『FAMILY』Mack
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○金子隆一さんとのトーク記事『鴉の秘密　アーカイブスの謎』
imaonline.jp/articles/intervi...
〜最後に〜
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[@IgaguriMK]

「写真を見て物語を感じるとしても、実際にはその『物語』は鑑賞者や鑑賞者の事前知識が8割・9割を埋めているものである。そうであれば、もはや寄与の割合からしても『写真作品自体の物語』とは言えない」ということですかね。

[@ryoichiyoko]

話が難しく何度か再生してみましたがやはり理解できませんでした。 理解できる人は素晴らしいです。私は自分対してとても失望しています。 残念ながら私には写真表現を理解することは難しいようです。 一番理解できないことは、「写真は物語る前から僕達の眼前に存在する」「写真は物語から離れて存在できる」というところです。 物語や言葉から離れて人は写真に触れることはできるのでしょうか？ 撮影者の物語や意図から離れても写真は写真として成立する（意図しない解釈をされてもそれは写真作品である）。 撮影者の物語や意図から離れた写真は見る人の物語に視覚から接続する。その際共感や感動が生じることがある。 その共感や感動は必ずしも撮影者の意図ではなく、一致したとしたらそれはただの偶然である。 くらいであればわかる気がするのですが、写真には物語が存在しない（それは嘘である）とまで言及されています。 写真を撮り編集する動機は撮影者の物語（言葉）から生まれ、写真を見る人も自身の物語に照らして解釈するのであれば、人は物語（言葉や人生経験を言語化したもの）から離れられないと思うのですが、おそらくこのような疑問がそもそも的外れなのだと思います。 私が写真でしかできない表現をしている写真というものを見たことがないか、見ていてもそれを理解できていないのだと思います。残念です。

[@81KUKU]

今回の話も、とても勉強になりました。 私は、名作とされる写真や高く評価された写真を見ても、物語性を感じないことがあり、「自分にはセンスがないのかな」と思うことが多々あります。でも、無理に物語性を見出そうとしなくていいんですね。

[@user-jo8uo5hf1g]

おはようございます！今回もお話し面白かったです！僕も写真が説明的にならないように気をつけて撮影していますので共感出来ました！面白かったです！

[@nobu8224]

凄くすぅっと話が入ってきて面白かったのですが、一点だけ気になったことがあり書き込みしています。3次元には彫刻等の表現があるので必ずしも時間の概念は存在しないですよね。(チャチャ入れて申し訳ありません)

[@tomo_kosuga]

ちょっとややこしい話ですよね。ここでは、平面空間における三次元の現しは「時」という概念をはらむ映像でできること、という論点を話しました。 彫刻は動かない＝時を持たないわけですから、立体としての二次元表現とも言えるんじゃないかなと思います。

[@user-vg1cl2xs5w]

本当にそうだよなあ…

[@Yoshi__Photo__]

Twitterより拝見し、とても考え深い内容でした。 動画内容を通して全般に共感を覚え、同時に、 自分の中で物語を語るなとの内容が一人歩きしてしまいました。 果たして、写真でストーリーを語らない方がいいのだろうか。 それは違う、破滅的な思想だと自分勝手な異論を唱えてみました。 （モヤモヤしたため、勝手ながら言語化しコメントとして残してみました。） 私は写真にしかできないことはないと考えます。 そして強いていう、写真が得意なことはリアルであることと考えます。 しかしそれは、リアルな何かであり2次創作の本物ではないと考えます。 それは画像加工が発達しより顕著になりました。広告写真はどれも宇宙人のような肌加工をしていますし、 そもそもカメラでは構造上、加工なしには人間と目と同等の見えず、なおさらリアルな何かと言えると思います。 そう、それ以上でも以下でもなく、リアルな何かなのです。 そこに確かな証明性はありませんが、正しいことの確立が高くなるものであはあると考えます。 その場の光を映す特性から、光自体に嘘はありせんが、 センサーに触れた瞬間、フィルムに触れた瞬間にそれは失われます。 できあがる写真は全て嘘つきです。 リアルな何かなのです。 これが写真のという概念の本質にあり、 そして写真を撮影するという行為を行なった時点で、 何かしらの意図が付随し、この世に写真は誕生します。 故に写真は全て、誕生と同時になにかしらの意図がありストーリーがあるのです。 よって写真でストーリーを語るべきはないということは、写真を撮るべきではない、 または写真を表に出さず、なかったことにすると同義であると私は解釈します。 私はどちらでも良いと考えます。 そして一人のつたない写真家として、 写真でストーリーを語るべきでないと言うことは破滅的な思想と考えます。 それ故に私はモヤモヤしていたのだと結論付けました。 撮影してもしなくても、発表してもしなくてどちら良いと考えます。 シャッターを切るからには、写真を発表するからには、 その写真には撮影者/発表者のエゴがあり、ストーリーがあると思います。 逆に写真家、フォトグラファーは皆、 ストーリーを語るためにシャッターをきり、写真を発表していると言えるでしょう。 以上、〜しない方が良いと聞くと反対したくなるのが人間の心理。 動画内容と解釈違い、特に意図をストーリーとするかがあるかと思いましたが、 モヤモヤを言語化した駄文ゆえにご愛嬌ということで失礼いたします。 PS：私が「意図もストーリー含む」とした理由について、 　　シャターを切った時に時間軸上の点が発生することで時間軸はあると考えました。 　　ただし、2点は存在せず線ではありません。これを軸があるとするか否かが別れ目かなと考える次第です。

[@popphoto8799]

私は、ユージン・スミスさんの、たった一枚の「楽園への歩み」には、十分な物語を感じます。この作品の撮影当時の時代（時間）が、十分に凝縮されて表現されていると思います。まして挿絵ではないと思います。 また言葉で書かれた小説（物語）であっても、書き手の意図と、読み手の解釈とは一致するものではないと思います。作品から受け取る物語の内容は、一意である必要はないと思います。一意でないからこそ、作品と言えると思います。

[@shigerusaitosculptor]

トモさんこんばんは。 いつも興味深い話題、眼の付けどころが新鮮です。ところで 背景が変わっていますが模様替えされたのでしょうか?それとも帰国されたのでしょうか? 私はイタリア在住ですが、ウクライナ問題で帰国がややこしくなりました。

[@tomo_kosuga]

オランダにいます。前々からのデスク位置を模様替えしました。日本への一時帰国も本帰国もなかなかハードル高くなってきましたね。お互いに頑張りましょう🙌

[@enzzo4551]

その通りだと思うけど...。エルスケンや荒木さんの手法はどのように思われるかなあ。

[@tomo_kosuga]

エルスケンや荒木さんは、それぞれのキャラクター人生という物語があっての写真展開だと私は受け止めています。一般的にはそのほうがわかりやすい写真の在り方で、理解もされやすいんだろうなと。

[@user-ij8xz2cr1v]

Aの写真を見て次にBの写真を見ることで見る人には時の概念が発生すると思いますが。