今回も素晴らしい動画ありがとうございます。theについての不安感がかなり解消されました。 ところで楽器の前にもtheがつきますよね。例えば”I play the piano.” これも「私は他の楽器じゃなくてピアノをいつも演奏してる。」とピアノを強調しているのでしょうか。 楽器の前にはtheをつけると機械的に習ったので理由があれば知りたいです。
@TokiyoshiEnglishCompany10 ай бұрын
とても良い質問、ありがとうございます。少し長くなりますが最後までお付き合いください。 ①「形ある物体としての可算名詞のpiano」と「演奏機能としての不可算名詞のpiano」 a+単数名詞は「ある物体が一つの形丸ごとそこに存在している」ことを表します。ですから、例えばピアノが物体としてそこにひとつ存在していることを言いたいなら、aがつきます(例:There is a piano in my room.「私の部屋にはピアノが1台ある)。 ですが、「ピアノを演奏する」という表現の時は人間はpianoを別の視点でとらえています。例えば「ピアノを『1台』演奏する」というのは日本語でもなんとなく変に聞こえます。なぜならこの時言葉で表したいのは「物体として1台存在しているピアノ」ではなく、「ピアノは演奏することで音を奏でる」という「機能」の話だからです。つまり「ピアノを演奏する」という話をする時、人はピアノを「物体」として捉えず、「(音を奏でるという)機能」として見ていることがわかります。 これは「一回の食事」として可算名詞となるmealと、その食事を「朝用、昼用、夜用のどの機能として食べるのか」という「機能」として捉える不可算名詞のbreakfast, lunch, dinnerの関係に似ています。本来不可算名詞は氷や皮、粘土など、「いくら形を崩してもそれはそれ」という「材質」を指しますが、「氷=冷やす機能」「皮=保護機能」などのように「材質」というのは「機能」と直結しているので(だから何かを作るの時の「素材」になります)、機能を表す名詞も不可算名詞になるのが英語です。機能が不可算名詞になるので有名なのはschoolですね。建物としての学校ならa schoolといえますが、「授業」としての学校ならHe is at school now.(彼は今学校だよ=授業を受けているよ)ならschoolは不可算名詞です。 「演奏している時のpiano」は英語話者にとって不可算名詞として見られています。 ②他のではなくそれを意味するthe バンドやオーケストラなどで「〜という楽器を演奏する」時には「play the 楽器」となるのが普通です。これはバンドを構成する楽器がいくつかあって、その中で「私が担当するのは他の楽器ではなくこの楽器だよ」という意味での「区別のthe」です。 ③演奏家が自分の演奏する楽器が何なのかを説明する時にはaもtheもつかないことが多い この説明はジーニアス英和辞典のpianoの項に載っています。 I play piano in a jazz band called X.「私はXというジャズバンドでピアノを弾いている」 この場合のpianoにはaもtheもついていませんが、pianoが1台の物体ではなく演奏機能を表していることでaは不可、そして、theをつけても間違いではないのですが、実際の用法としてtheは省かれることが多いです。これはおそらく演奏家が「自分の演奏の話だけをしていて、他の楽器担当の演奏家と比較しながら何かを話しているわけではない」という心情があるからtheをつけないのではないかと思われます。 ④最後に 実際のいくつかの例文を見ながら何が起きているのかを確認して見ましょう。例文はウィズダム英和辞典のplayの項からです。 Well, I'd love to play the piano. I love music, and I do play piano. (今の職業以外になりたい職業を聞かれて)そうねえ, ピアノが弾きたいわ, 音楽が好きなの, 私ピアノを弾くのよ →今の職業以外で演奏家になりたい、そして楽団の中で「他の楽器ではなくどの楽器を弾きたいか」ということが意識されるのでthe+楽器となっている Someone's playing a piano. 誰かがピアノを弾いている (「(どんなピアノだかわからないが)ある(種の)ピアノ」の意) →これは「演奏機能」の話というより、誰かが演奏する音色を聴くことで「そこに物体としての1台のピアノがあるね」という「物体の発見」の話をしているのでa pianoとなっている Daddy would play my piano and sing before he died. 父は生前よく私のピアノを弾いて歌ったものだ. →これも「演奏機能」というよりは、「物体としての1台の私のピアノ」としてピアノを捉えている(つまり可算名詞)。そして、「とある1台のピアノ」ではなく「私のピアノ」と限定しているのでa pianoではなくmy pianoとなっている。 以上です。お疲れ様でした。